第3話 水と光の景色

丸い円の形をした湖がある。

とてつもなく丸い。曲線はどこまでもなめらかだ。湖には当然、水が満たされているわけだが、それがまた抜群に澄みきっている。蛇口から出したばかりの真水のように透明だった。水の下には砂地の地面が続いている。白い砂はサラサラと軽い。

足先を水につける。冷たい、けど嫌な冷たさじゃない。裸足の裏に感じる水底は柔らかかった。私の1歩ごとに砂粒が舞うが、水は少しも濁らない。

湖の真ん中には小島があった。この島も随分丸っこい。湖の真ん中にある島のそのまた真ん中に背の高い木が1本だけ生えている。風に揺れてさわさわと葉を揺らす。あそこまで行ってみよう。

とても静かだ。

私の体が水をかき分ける音。それから、そよ風だけが聞こえる。

小さな島に上陸すると、さっきまでよく晴れていたのに雨が降ってきた。思わず見上げる。あれ、曇ってない。雲のひとつもないのに、お天気雨が降っている。小雨ですらないような、霧状の雨が気持ちいい。

島の真ん中に到着。木に体を預けて一休み。おや、空に虹が3本もかかっていた。そうか、こういう霧雨だと見られやすいんだったかな。

よく晴れているのに、柔らかな雨が辺りを満たすから、そこかしこで光が踊っている。


少し、このまま眠ろうかな。

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