第32話
「アキラのパンツ……アキラのパンツ……はぁはぁ……」
ただ今アキラの部屋の服を入れた箱の前では、興奮した変態がアキラのパンツを広げ、息を荒くしている。
その顔は、まるで好物を前にする子供のようによだれを滴し、そして大変素敵な笑みを浮かべている。
そして、ベッドの下では。
「あれ、おかしいな……。 この前家宅捜索したときは、この下にエロ本あったのに……。 一体どこに……。 と言うか、何かアキラが嫌がりそうなモノ、見つからないなぁ……」
アキラの嫌がるものを見つけて、晒してやろうと意気込むマオの姿があった。
だが、そんな二人を窓の外から生暖かい目で見る一つの生物がいた。
「ぐっふっふ……。 男の部屋に潜入して、部屋を漁る二人……、女の子同士のイチャイチャさせなければいけないウヒ……」
それは天使に翼が生えた人を、全身黒で染めたような生物、カオシソウ……。
彼らは、女の子同士のイチャラブを好み、それを見るために人間の女性を狙って《発情の呪い》をかける変態的な魔物である。
だが、その存在はあまりにレア!
それには、以下の理由がある。
・ステータスがとても低い
・男性のち○こを見ると、かけていた《発情の呪い》が解けると共に強烈な吐き気に襲われる。
・そもそも、そんな行為ばかりする為、女性から悪い意味で有名で、見かけるだけで容赦なき殺しに来る。
しかしながら、一番上のステータスが低い、はあくまで一般的に見て、HPが300という低い数値なだけで、アキラ達のように極端に低い数値ではないし、男性のち○こなんて見る機会はまずない。
なので、カオシソウが極端に少ない理由の大部分は、女性に容赦なく狩られているからであると言える。
さて、そんな稀少種であるカオシソウは、二人の様子を物色し、そして。
「ぐっふっふっふ……パンツを握りしめる女、なかなかの変態とみたな……。 あの女に《発情の呪い》をかけ、女の子のキャッキャウフフなシーンを堪能してやろうではないかウヒ……」
盛大な死亡フラグを立ててしまうのであった。
カオシソウだけに顔に死相が出ていたのかもしれない。
「さて、それでは呪いを早速かけるでウヒよ……。 んんんんんんんん……、ハチャメチャ大混乱、サスペンスタッチ、それ行けやれ行け大追走~! あ~、宇宙は大ヘンだ~!」
そして、カオシソウは両手を高く上げ、そのような呪文を唱え、ツカサ目掛けてピンクのエネルギーを放った。
そのエネルギーはスーっとガラスをすり抜け、ツカサに迷わず向かっていき。
「うっ!?」
見事ツカサに当たってしまう。
「やっぱ、別の場所探した方がいいかな~……」
「……マオ」
「ん? 何?」
丁度ベッド下の探索を終えたマオは、突如ツカサに呼ばれる。
(ツカサお兄ちゃん、一体なんだろう?)
そう思いつつ振り向いた時、そこには。
「さぁマオ……、身体を絡め合おうか……?」
そう言って上着を脱いでブラジャー姿になり、大股広げて座るツカサの姿だった。
だがそんな姿をみたマオは、困惑するどころか。
「……やっちゃう?」
ニヤッと笑みを浮かべつつ、制服のボタンを二つ外し、その割れた隙間から白いブラジャーを見せつけるのであった。
しかし、そんな様子はカオシソウの望む展開でなかったらしく。
「おかしいウヒな……。 普通なら『ど、どうしたの!? ねぇ止めてったら、ねぇ……。 キャァァァァァァ』となる展開のはずウヒが……」
腕を組んで頭をコクっと右に傾けるのだが、結局。
「まぁいいウヒか! 女の子がキャッキャウフフする展開には違いないウヒから! さて、透明化、透明化と……」
キャッキャウフフな展開になればまぁいいや、と割り切ったカオシソウは、体を透明化させ、ベランダに降り立った。
その間、マオとツカサの気持ちはさらに盛り上がる。
「……後ろから揉んでくれる?」
「あぁ、いくらでも揉んでやる。 マオの願いならば!」
「ん! いい……」
鼻血を流しつつもマオの後ろに回ったツカサは、マオの胸を制服の上から優しく揉みながら、マオの首をハムハムと甘噛みする。
「ねぇ、直に揉んでって~……ほら……」
「ふふ……。 なら、マオの甘く熟れた果実、堪能させてもらうぞ……」
「あん、いぃ……気持ちいいよぉ……」
だがそれでは、もの足りなかったのか、マオはツカサの手を取り、自分のブラの中へ案内する。
そしてツカサもそれを素直に受け入れ、マオの胸を大胆に揉み始める。
「はぁはぁ……」
そんな様子をカオシソウは鼻息荒くしながら眺めていた。
始めてみる大胆で濃厚な女の子同士のキャッキャウフフ、その様子はカオシソウが凝視するには十分だったようだ。
そしてついに運命の瞬間が訪れる。
「もう押さえきれないんだ……、全てを脱ぎ捨てた私を受け入れてくれるか? マオ……」
「もちろん……全部受け入れるんだから……」
ツカサはマオの目の前に立つと、スカートを脱ぎ、白いパンツを外し、下半身を露にすると。
「ぐぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「「ん?」」
突如窓の外から聞こえてきた声に反応して二人はベランダを見る。
そこには、噂で聞いたことのある生物、カオシソウが苦しそうに吐いている姿を発見、二人は急ぎベランダに出て。
「捕まえたわ!」
「決して逃がさんぞ!」
「ぐぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、その棒を見せるなぁぁぁぁぁぁ!」
苦しそうに声を上げるカオシソウを捕らえるのであった。
…………。
「何でもうちょっと我慢できなかったんだ貴様! おかげで私は、貴様のせいにして愛しいマオとの関係の前進に至らなかったではないか!」
「そうよ、せっかくアンタのせいにして、大人の関係を築こうとしていたのに……」
「あの、なんかすいませんウヒ……。 それとお願いなのですが、男性の方、いい加減股間のそれを隠してくれませんウヒか……。 その、男のアレを見ると、吐き気がするので……」
「断る!」
「そ、そんなぁ……」
正座させられつつ、真下を見るカオシソウは困っていた。
何で自分は殺されずに、腕組みして仁王立ちしているフルチンの男性になぜ説教されているのだろうと……。
それと同時に。
(あれ、なんか気づいていた感じじゃないウヒか?)
と言うことに気がついたカオシソウは二人にその事を訪ねるのであった。
「もしかして、初めから気づいていたウヒか……?」
「当たり前じゃない! ツカサお兄ちゃんは相手を誘うより自分から誘う派なんだからすぐに分かったわ! まったくこの根性なし!」
「私も呪いをかけられたのは直ぐ分かったが、あえて逆らわず身を任せていただけだ! さぁ早く、もう一度私に呪いをかけろ!」
カオシソウは全てを悟った。
自分の存在は悟られていた上、利用されていたのだと。
そしてそれと同時に、彼は目の前にたたずむ立派なエレファントの存在に限界を感じたカオシソウは。
「も、もう勘弁してでウヒぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「あ、待て!」
ガラスを突き破り飛び出していき、それと同時に。
「ツカサ兄、マオ、まさか……」
「ツカサ……我と言うものがありながらマオと……」
アキラたちが帰宅してしまったのである。
「そんな事より、食事を先に欲しいのだが……」
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