第4話 トレーニング
「ただいまー」
翌日、学校から帰ってきた奈美は早速物置に向かった。物置の鍵は七恵からもらっている。
「あ、あったあった」
物置から刀を取り出し、鞘から刀身を引き抜く。いつ見ても惚れ惚れするほどの仕上がりの良さにため息がでる。
昨日教わった正しい握り方で刀を持ち、振りかぶり、降ろす。これを繰り返す。八回ほど繰り返したところで腕の力が限界に達する。
「いてて……」
「痛いと感じるならそこらへんで止めておいたほうがいいわよ」
開いた窓から七恵の声が届く。七恵の言う通りに従い、刀を鞘に納め、物置に置き直す。
「プロテインとか買った方がいいかしらね」
「うーん……」
家の中に入ってから、筋力の話題が繰り広げられた。確かに筋肉が無ければ刀を振ることもままならないのだ。
「最近のプロテインは飲みやすいから、必要なら買ってくるし」
「うーん……腕が太くなっちゃうのはなぁ……」
奈美は早く筋肉をつけたいようだが、筋肉で腕が太くなるのを危惧している。年頃の女子は見た目も気にするのだ。
「大丈夫だと思うわよ。母さんの腕もそんなに太くないでしょ?」
「確かに……」
「無理に筋肉つける必要もないと思うけどね。刀を振れるならそれでいいんだけど」
「うーん、じゃあ、プロテインは必要ないかな」
結局、買わないことになった。ノートパソコンの画面に出ているプロテインは無用になったようだ。
腕の痛みが無くなったところで、また刀を取り出しに行く。今度の目標は十回。
「んっ……」
しかし、刀を振りかぶろうとすると再び痛みが走る。今日はもう止めておいた方がよさそうだ。
夕食の時間になり、各々食卓につく。今日の夕食は豚肉で作った肉じゃがとご飯に味噌汁だ。特に他愛のない話をして、一日は終わった。
翌日、奈美は筋肉痛になった。
「痛い……」
「完全に筋肉痛ね……」
昨日は寝る前にも諸々トレーニングをしていたので、体のあちこちが筋肉痛になっていた。運動不足の奈美にとっては辛いだろう。
「今日は休む……」
「そうね……今日はトレーニングは止めておきなさい? ね?」
「はーい……」
結局、今日一日は療養日となった。
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