ディナーバイキングでお祝い
「やっと終わったわね、ピカピカね!」
「ここって丸見えよね、かなり私、お尻を見られたわ」
「ほんと、男っていやらしいのだから!」
「私、別に男と付き合うことは一生ないから、その点、気が楽だけど」
乙女ちゃんが、
「私の望みは、美子さまに愛されることなの」
その後、申し訳なさそうにいいました。
「話は変わるけど、私とお京ちゃんは、洗面器とか鏡とかを拭いただけで……悪いわ……」
「いいのよ、クリちゃんがいれば、体力はこちらに任せて」
「なんで私なのよ!」
「怪力ですものね、皆知っていることよ」
乙女ちゃんが、
「そうなの?はじめて聞いたのですけど」
「昔ね、クリちゃん、五百円ショップのドアの取手を、握りつぶした事があったのよ」
「ミチちゃん!」
「まあまあ、そんなことよりお腹がへったわ、夕食はお弁当っていっていたけど、足りるかしら?」
「とにかく、終わったって事を報告しなくてはね」
で報告すると、支配人が直々に見に来てくれます。
「ご苦労様です、大変綺麗に掃除をしていただいたようで、宇賀オーナーがバイキング会場でお待ちになっておられます」
「掃除のお礼として、用意させていただいております」
歓声を上げた娘たちでした。
ディナーバイキングは豪華そのもの、色々な料理が並んでいますが、シズちゃんなんか、お皿に肉料理ばかりのせています。
「シズちゃん、ヴィーンゴールヴって、お肉が大量にある星のはず、籠目(かごめ)高女の食堂も、お肉がメインと聞いているのに、それでもまだお肉を食べるの?」
クリームヒルトが不思議そうに聞きますと、
「ヴィーンゴールヴのお肉って、硬いのよ」
との返事で、納得していました。
「まあ食べながらで良いから、これを回して読んでね、美子さまのお言葉ですから、良い話ですよ」
と、先ほどの美子との話の要約を書き写した文書を、クリームヒルトに渡しました。
皆が一読したのを確かめて、
「お盆の旅行に異論はありませんね」
と念押しすると、
「異論などありません!」
とお京ちゃんが力強く応えました。
その後は大変です。
周りから見ると、何かのお祝いを、盛大にしているように見えたでしょうね。
「それからね、この後、屋上の貸切露天温泉を一つ、一時間借り切っておきましたから入りなさい」
「夜の事、新しい二人の仲間に、先輩としてよく教えてあげるといいわね」
「とにかく明日からは夏を楽しんでね、私、これから稲田さんと打ち合わせがありますので、失礼するわ」
宇賀さんは、さっさと帰っていきました。
「夜の事って、あの事?」
「ここでは説明できないわ、後で露天風呂へいったら説明するわ」
「とにかくたべましょう、とてもおいしそうですから」
「あら、クリちゃんは、何でケーキなんて食べているの?」
「なんかうれしくて、お祝いしたいような気分!だからケーキなの!」
「いまいち分からない理由だけど、私もケーキにするわ」
「そうよね、ケーキが一番元がとれるわ、原価は一番高いのですもの!」
お京ちゃんの言葉です。
「やはり仕出し屋さんの娘ね」
この後、散々にデザートを食べていましたね。
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