『抓られました』が許可を得ました


 その頃、宇賀さんは美子さんと、通信を交わしていました。

「皆どうしていますか?」

「プールの掃除のアルバイトをしています」


「クリームヒルトをよく支えていただいて、感謝しています、宇賀さんもお気づきでしょうが、クリームヒルトは逸材です」

「大事に育てれば、宇宙の一つや二つ任せられると思っています」


「オフィス部門には優秀な人材が育ちつつありますが、有機体アンドロイドからなるミリタリー以外で、宇宙を任せられる人材はまだいない」

「今のところ、唯一クリームヒルトにその可能性があると思っています」

「無条件で人を従える力があるのです、それは皆が認めています」


「だから空狐でもある貴女に、クリームヒルトを任せたのです」

「貴女は宇賀一族を従え、弱小ながら蓬莱を守ってきた経験があります」


「三人の娘たちをみていれば、貴女がどれほど人格的に素晴らしいのかも分かります」

「これからも、クリームヒルトの指導をお願い致します」

 

 美子さんは言葉を続けます。


「蓬莱のハレム設立の準備の件、サリーさんから『抓られました』が許可を得ました、ちょっと痣が残りそうですけどね」


「宇賀さんの読みどおりですよ、すぐではありませんが、ハレムが許可された以上、蓬莱は見捨てることは出来なくなります」

「下準備は認められました、ご苦労しましたね」


 宇賀さん、一瞬震えがきました。

 長くこの言葉を待ち望んでいたのです。

 美子さんはじっと宇賀さんを見ていたようです。


「ヴィーナス・ネットワーク審議会の、拡大会議が開かれるのは来年の五月の予定です」

「蓬莱の現地政府代表も来て下さい、と、内調さんあたりに伝えておいてね」


「それからね、サリーさんが認めた以上、釆女の皆さんをニライカナイに招待できます」

「今度の夏のお盆なら、仕事も休めるでしょう、一応格子にします」

「栄養ドリンク飲んで待っているから、蓬莱にいる釆女以上は一度きなさいな」


「それから稲田さんが一押ししている二人、そちらの日時で八月一日に、セイレンステーションに用事がありますので、そこのノルディック・スペースDでなら会ってもいいわよ」

「ナーキッド・オーナーの特別室を用意しておくけど、稲田さんが引率してきてね」


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