生徒の待遇
「お待たせいたしました、私はこの東京聖女女学校の入学担当の稲田真白といいます」
「皆さん方は優秀で、甲乙つけがたく全員合格となりました」
「一週間後、入学式を行いますので、その前日までに寄宿舎に来てください」
「持ってくる物は、私服など手荷物一つぐらいで構いません、衣服や生活必用品、一切合財は支給いたします」
「奨学生扱いで給料として毎月十万、夏と冬に賞与として十五万、年に百五十万円分支給されます、食費、学用品、学費も無料ですので、これはお小遣いとなります」
「本年度は開学が遅れた関係上、夏休みはありませんが、後は普通の学校と同じです」
「寄宿舎は四日後から、皆さんを受け入れ可能になりますので、入寮は四日後からとなります」
「なお事情で本日より入寮したい方は申し出てください、幸い寄宿舎の一部が完成して、本日より舎監さんが常駐しますので、泊まれるように手配いたしましょう」
「なお入学後の帰省旅費も、公共交通機関の切符代も往復分支給されますが月に一回です、なにか質問はありますか?」
一人の保護者の方が、
「本人の現住所をこちらに移すように聞き及んでいますが、本当なのですか?」
「本当です、健康保険も本人に対して支給されます」
「この保険は、『アジア大司教区特別婦人健康保険』という特殊なもので、女神様にお仕えする女性に出される保険証で、医療費は全て無料です」
「もっとも使う事になるとは、考えられません」
「一言言っておきますが、卒業後、任官されると戸籍は新しい戸籍となります、つまり女神様と婚姻したと、されるわけです」
「なにも要らない、全て支給と説明を受けましたが、たとえば日用消耗品についてもですか」
「ここに支給するリストがあります、後ほど差し上げますが、生徒さんたちには、身分証として指輪が支給されます」
「その指輪をかざすことで、備品倉庫から取り出すことが出来ます」
「何らかの理由で支給量を超えた場合は、先ほどの給料から天引きされます」
……そのリストには、制限なしの物が多々ありますがね……
「給料は振り込みですか?」
「手渡しです」
ここらで質問はなくなり、合格者は帰って行きました。
二人ほど宿泊を希望して残っています。
「貴女たち、荷物はどうするの?」
「私物はありません、捨ててもいいものばかりで……」
と、一人がいいました。
名前は益子和子という子です。
この子は少し薄汚れた服装をしており、たしか資料によれば、親がいなく親戚をたらいまわしにされていた子とありました。
さらにこの子はビネー式IQが百四十五とありました。
もう一人は、
「私は何ももっていませんので……」
西田真理亜という子は、ちぐはぐな服を着て体調が悪いようです。
資料によれば母子家庭でしたが、母親に虐待され続け保護されたとあります。
信じられぬことですが、この娘さんはビネー式IQが、二百十三と記載されていました。
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