女神に捧げられた生徒達

 

「教職員の手配もしなければ……」

 この三月まで大学は運営されていましたので、かなり施設は綺麗なままです。

 教職員は女性のみ公募とし、一週間後に面接で決めると発表しました。

 かなりの高給で、反応は上々のようです。


 職員はいざとなれば、宇賀一族を動員する腹積もりの稲田さんです。


 校舎の改修が行われる中、入学試験が始まります。

 入学試験といっても面接です。

 これは本人の希望と、小学校の推薦があって、初めて面接を受けられることになっています。


 入学はかなり難しく、定員は毎年十名、合計で八十名たらず。

 生徒になると、イエローシルバーのリングを左小指につけることになります。


 卒業すると祓女(はらいめ)となり、ブラックゴールドの指輪を左薬指する。

 最上級生の中の一号生徒、つまり最優秀の生徒だけはピンクシルバーのリングとなり、卒業と同時に梓巫女(あずさ巫女)に任官することに決まっている。

 そして機会があれば、『格子』の位を授かるわけである。


 ほとんどマルスの八年制高女とおなじですが、細部で蓬莱の実情に併せてあります。


「それにしても、綺麗な娘さんたちばかりね」

 推薦書類を眺めながら、感心している稲田さんです。


 今回だけは、他校への入学が確定した上での募集、受験は極秘となります。

 どうやら推薦時点でかなり絞っているようです。

 競争率は一.三倍程度、この中から選ぶのは至難といえるでしょう。

 

 面接ですが、教職員の採用も今日なので稲田さんが担当しました。

 十三歳ですが、どの娘さんも頭脳明晰、利発さを隠しおおせません。


 しかも推薦文によると、皆さん家庭環境がよくありません。

 この娘さんたちは卒業すると、蓬莱御巫(ほうらいみかんなぎ)に任官する以上、娘さんたちは女神に捧げられます。


 基本的には女神様の女奴隷、望まれればすべてを差し出す事と募集要項に明記されており、裕福な家庭では躊躇する場合もあり、推薦要項にも明記され、考慮されたしとあります。


「私が要求したことですが、これでは不合格とできないではありませんか……ボーダーにならんだら、幸せな娘さんから落としていこうと考えていたのに……」


 どの子もはっきりいえば貧困家庭、ぽっちゃりさんはいませんし、かなり自立している娘さんたちばかりです。


「しかたない、全員を合格といたしましょう……来年からは推薦入試とし、十名をメドに最大十四名まで内調さんに調整していただきましょう」

「面接は適正かを判断する場とし、基本的には推薦されれば合格とします」


 ……とにかくこれで、寄宿舎の五階の集会室も無しね、全部で個室九十室では足りないわよね……

 まぁ五階はそんなにあせらなくても良いでしょう、今年中ということにしましょう……


 合格は二時間後に発表となっています。

 皆さん、緊張して待っていました。


 一応、保護者同伴で来てもらってます。

 推薦された時点で、二人分の旅費、宿泊費が支給されています。

 中には児童養護施設の方もおられ、児童指導員が付いてきている娘さんもおられます。

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