無茶は権力と金に口を閉ざす?


 内調さんが手配してくれた建設業者、超大手のゼネコン責任者がやってきました。

「図面はこれです、期間は二週間、女学生が好むような内装にしてください、ただしアカデミックにね」 

「二週間ですか!」


「普通にやれば工事代金はいくらですか?」

「三億あれば十分ですが……」

「では六億支払いましょう、いまここで三億、二週間後に完成させて三億、突貫工事の夜間工事でお願いいたします」

「資材の手配が……」


「では工事代金は五億、資材はこちらで即納しましょう、本日六時に必要資材のリストを提出してください、明日朝一番までにはこのグランドに搬入しておきます」


 まったく無茶をいっている稲田さん、だってね、必要資材リストといっても、一日では無理なのですけどね……

「資材は多めでもいいですよ、足らなくならないように、どんなに多くても調達してみせます」


「資材さえ即納していただければ、やり遂げて見せます」

「資材を提供できれば、もう少しお願いできますか?」

「これ以上は人が足りません」


 内調さんが、

「貴社はこの近くに政府の工事をしているが、ここを二週間とめれば、人は回せるのだろう?」

「しかし契約が……」

「工期は二週間延長するようにする、だからこちらを優先せよ」


 納得したゼネコン担当者が、

「では何を追加するのですか?」

 と、訊いてきました、

「この交流センターを寄宿舎に改修してほしい」

「それは……許可が下りるまでに一月がかかりますが……」


「すぐにおろさせる、特例で図面は後でよい、それは約束する」

「この建物は三階建て、二階、三階を個室として八十室、小さいトイレとシャワーをつけて欲しい、できたらホテル仕様でお願いしたい」


 しばらく考えていた担当者ですが、

「やはりそのご要望では二週間は無理です……」

「そうですか……困りましたね……」


「一つ提案がありますが……かなりお高いことにはなるので……」

「この際、お金で解決できることなら出しますよ」


「実は弊社は、この敷地の隣で小さい研修所を建てています、明日引渡しなのですが、この物件をご購入なされてはいかがでしょうか、ただ当社が口利きいたしますので、多少は手数料をいただきますが?」

「売ってくれそうなのですか?」


「支払われる額によります、かなり投資目的のところがありますので、値段次第では購入できるかと……」

「いくら?」

 結局相場の二倍半も出すことになりましたが、寄宿舎問題は解消です。


 五階建てで、二階から四階が定員二人の宿泊室で、一階あたり十五室、これの内部に壁を入れ二分割、一人の個室三十室で定員三十名、全部で九十名分を確保できる計算です。


 業者はこの手直しを、二週間以内でやり遂げると確約してくれました、ただ工事代金はこちらも二倍ですが。

 一階はロビーと食堂、そして大きなお風呂、ランドリールーム、五回は集会室となっています、屋上にペントハウスがありますが、これは物干し場となっています。


 二週間後に校舎の改修は完了しました。

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