仮面舞踏会のモデル
三人の母親たちは、どこへお泊りするかで盛り上がっています。
「やはり少しは歴史がある場所でなければ……」
「私はそのあたりが分かりませんので……」
「でもいまからホテルは……」
「一つ提案があるのですけど……ただすこし協力していただきたいのですが……」
「何ですの?」
山野さんのお母さんの提案というのは、美子と茜に、婦人服のモデルになってもらいたい。
撮影という名目なら、山野さんの会社の所有するコテージを、提供することが出来る。
このコテージは、瀬戸内のかなり歴史がある港にあるようです。
なんでも、少々低迷している婦人服会社の、起死回生の企画に採用するモデルを探していたのです。
「私と茜姉さんが……でも顔を写されるのは問題がありますが……これでもまだ女学生なもので……」
と、美子さんが渋っていると、
「顔を写さなければいいのですね、上手く写しますので、お願いできませんか?」
山野さんのお母さん、すごく真剣な顔で迫ってきます。
「分かりました……妹の為もありますし、お手伝いさせていただきます、でも五六枚程度にしていただけますか?」
美子さん、とうとう承諾しました。
茜さんはノリノリです。
当日は、かなり名の売れた女流カメラマンと、ファッションコーデネーター、ヘアメイクアーティストなど、かなりの人が集まっています、ただ全て女性ですが。
「顔は写してはいけません!名前も秘密です!お願いして、やっと承諾していただいたのですから!」
山野さんのお母さんが説明していますが、皆さん、異様に興奮しています。
「しかしこれほど美しい方を目の前にすると……仕事冥利につきます!」
なんとしても自由にさせろと、うるさいこと、山野さんのお母さんが手を焼いています。
「あの~美子姉さま、茜姉さま、仮面をつけられたらどうでしょう?」
「それなら、後は皆様の要求にお答え出来るのでは?」
クリームヒルトが提案します。
「仮面?」
「目だけを隠すほうの仮面です、映画などの仮面舞踏会などで、良く見るやつです」
ざわざわっとしてきました。
「それはいい!今回のテーマはミステリアス、ベネチアンマスクのアイマスクなら、お二方の美しさも損なわれない!」
山野さんのお母さんが、携帯で会社に電話しています。
「すぐにベネチアンマスク、そうアイマスクをかき集めて!」
「倉庫に幾つかあるでしょう、一時間で届けて、すぐよ!」
「それからドレスも持ってきて、仮面舞踏会よ!そうよ、ミステリアス!これはいける、モデルさんの協力も得られる!」
支離滅裂な感じで叫んでいます。
美子さんが、
「後一時間は待機となるのですよね、私も協力いたしますので、すこしお願いがあるのですが」
「なんでしょうか?」
「吉川、浮田、山野の三家族で、写真をとりたいのです、勿論、私的な写真ですから、素顔でおねがいしたいのですが」
案外に浮田家も山野家も、お母さんたちは相当綺麗な方たちなのです。
どこからか聖ブリジッタ女子学園山陽校の制服を取り出し、美子も茜も、クリームヒルトもヴァランティーヌも、浮田京子、浮田明子、山野乙女も制服を着て、写真におさまりました。
勿論、三人の母親も一緒です。
見事な集合写真、美女ばかりの写真となったのです。
一時間後、仮面が届き、美子と茜は着せ替え人形状態ですが、結局は吉川家の面々、全員動員されてしまったわけです。
この時使用されたドレスなどは、秋にバカ売れしたのです。
また写真集も出版され、空前の売れ行きとなってしまいました。
山野さんの会社は、このお陰でとんでもない売り上げをあげ、傾いた会社は絶好調になったのでした。
この後、浮田家と山野家の面々は、確信したのでしょうね。
美子と茜は尋常でない、女神といわれることはある、そして暁の女神アウロラは美子である……
両家の母親は、娘たちの蓬莱御巫(ほうらいみかんなぎ)への応募、そして採用を祝ったようです。
FIN
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