第7話 死にたくはないので死なないように何とかしたい

 我ながら何とも面倒くさい人間であると思う。

 こよりは愛情と殺意が一緒になっている、普通の人間なら多分さじを投げているだろう。

 だけど、僕はそれを何とかしようと努力した。

「いつも思うけど、お前って情が深いというよりか狂ってる一歩手前の人間だよな」

 友人である俊太はいつもそういっている。

「まぁ、おかしいって言ったらおかしいけど……受け入れているからね」

 そのようにさらっといえること自体がおかしいことだという自覚はある。

 実際、通院先の病院の人たちからも道場のまなざしを向けられる。

「シンジ!」

 頸動脈に向けて、こよりがフォークを突き付けてくる。

「よいしょ、と」

 最近あまりにもワンパターンすぎてそのままいなすことが簡単になってきた。こよりのおかげで柔道や合気の腕がもりもりと上がっているのがわかる。

「愛ってすごいな……」

 この光景を見慣れている俊太はそういった。

「愛がなきゃ、できないよ」

 僕は肩を竦めてそう答えた。

 死にたくないし、こよりを愛している。

 だから僕は死なないように何とかしたいと思って、何とかしている。

 人間とは、業が深い生き物で、自分はその中でも特に業が深いと思っている。



          続く

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幼馴染が僕の命を狙ってます、慣れました 文屋旅人 @Tabito-Funnya

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