駅2




 雑踏のなか、向こうから好みの人が来るのが見えた。

「たまにはこっちにおいでよ」

 すれ違い様、わざと彼に聞こえるように、いつものごとく適当な台詞を言ってみた。


 こんなターミナル駅で他人の事を気にする人はいないだろう。私の携帯電話は実は誰とも繋がっておらず、ただ独り言を連ねているだけなんて、誰が思うだろうか。


「……うん。じゃあ次の休みに」


 この時間は“寂しい人”ではなくなる。唯一“寂しくない人”になりきれる。


 私の人生をプログラミングしたのは誰だったのだろう。





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