もう雪隠れはさせない

悲しきかな、その日はその年初めての雪が降るほど寒い日だった

いつもの通りしばらく様子を見ていたが、親が出てくる気配がない

灯りが消え、薄灯りがつく

考えたくもないが、大方予想はついた。この先時間が長くなりそうな予感がした。もしかしたらそのまま迎えに来ないつもりじゃなかろうか。

いつもならもうとっくに迎えに来ているはずだ。その具体的な時間がわかるくらい、男はよく少年を見かけていた。

少年もうつらうつらとしてきていた

このままでは命が危ない

”もう見ていられない、ひとまず声をかけてみよう”

自分に言い訳をやめ、男は初めて少年の側に近寄って声をかけた


「ねぇ そこの君 どうしたんだい?

こんな日に こんな場所で」

空を泳ぎながら少年は応える

「僕は悪い子だから

せめてこうしているのです」


なんということだろうか

この子は自分が悪いからこんな仕打ちを受けていると思い込んでいる

そしてそれ以上の罪悪感を感じている

周りの同年代は今も両親の愛情を受けて楽しいクリスマスパーティーを開いているだろうというのに

どうしてこの子がこんな仕打ちを受けなければいけないんだ

どうしてあの人達はこの子を愛してくれないんだ

私なら、もっと…


…もういい、まずこの子に暖かい場所と暖かい服と暖かい食事を与えよう


私はもう、どうなってもいい

こんな私は、やはり悪なのだろうか

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