雪隠れの少年
あるとても寒い冬の事。灯りがちらほらと見える街並みの中、1人の幼い少年が壁にもたれかかり、体育座りをしている。
少年の両親は少年がまだ生まれて間もない時に離婚
母親は、別の男を愛してしまっていた
離婚して間もなく、その男と再婚
しかし、その男は酷く横暴な性格で、幼い少年をいつも虐めていた
次第に、男は母親にも暴力を振るう様になっていく
母親は
”私が愛されないのは全部この子のせいだ”
”彼の血が入っていないこの子はやはり愛せない”
と少年を忌み嫌う
この時点で母親ももう何かが狂ってしまっていたのかもしれない
それでも少年は、母を、父を愛していた
たまにくれる美味しいご飯、たまに撫でてくれる大きい手、そして何より、1度でも笑いかけてくれたあの顔が忘れられなかった
クリスマス当日
「僕にもサンタさんは来るかなぁ」
と窓の外を見てつぶやく少年
それが聞こえた黒いスーツを着た男は
「お前みたいな悪い子には来ない」
と少年を殴る
「あんたは悪い子だから黒いサンタに連れ去られてしまうわよ」
と嗤う赤いドレスの母親
聖夜を楽しみたい2人は少年が目障りだと、その日の夜、いつものように少年を外に締め出した
幼い頃から時折あったこの締め出し、最初こそ「ごめんなさい!もうしません!!僕が全部悪かったです入れてください!!!」と泣いて扉を叩いていた少年だが、回数を重ねる毎に反抗する方が長引く事を幼ながらに学習していっていた。泣き叫ぶ方が痛い目に合うことを知っていった。
”今日はお母さんとお父さん、どっちが迎えに来てくれるんだろう”
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