聖の子/黒布の男
うみね
ブラックサンタの逸話
”君はブラックサンタを知っているだろうか”
”クリスマスの日、いい子にプレゼントを持ってきてくれるサンタとは対照的に
わるい子に芋や石炭、モツ等を送ったり、時に灰袋で叩いたり最悪の場合連れ去られると言われている、あのブラックサンタだ
これを聞くと、子ども達はいつだって怖がっていい子にしようと努めた
君もそうだったかもしれないね
でももう君は大人になっているかな
ブラックサンタのもう1つの顔についてお話しようじゃないか”
”単刀直入に言わせてもらう
今から書き記すのは、いわゆる「ブラックサンタいい人説」だ
どういうこと?と思った人もいるかな
まず大前提として「わるい子」とはその時代、どういう子どもの事を言うのだろうか?
どうやらこのブラックサンタ、わるい子の条件は「神への信仰心」だったそうだ
わるい子、つまり神への信仰心が無い、礼拝にも来れないような貧しい子が対象になるとも言える”
”その点を踏まえると、芋は炭水化物(栄養の摂取)、石炭は身体を暖める道具、と解釈できないだろうか
芋ではまかないきれないくらいの栄養失調だと、モツはそれはそれは栄養価が高く重宝されただろう
灰は殺菌作用が高い。礼拝にも行けないような子であれば身体に寄生虫や病原菌があってもおかしくない。灰袋で叩く行為は一種の防疫効果を見込んでのことかもしれない。
そして最終、連れ去る行為。家庭内暴力や育児放棄下における子どもを強制的に保護したとして、それは果たして悪なのだろうか。”
…やっぱり、悪なのだろうか?
私は、書きかけのノートを閉じてしばらく空を眺めた
暖炉では石炭がチロチロと燃えている
毛布をかぶっていたって頬は冷たい
…もう何度目の冬だろうか
そうして、私は再び筆を手に取った
これは、私が書いた1つの物語だ
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