第50話 第四章 アルス、ロンガ、ウィタ、ブレウィス(8)
揺るぎない信念にみなぎるインノケンティウスは、悠然と続ける。
「まずはタブレット・オリジンの新装備で他宗派を蹴散らす。そしてこの義体によって確立する技術を使うことにより、人類進化を現実のものにする」
「・・・・」
「わたしはな、タブレットの『現生人類未到達技術』を様々な兵器に転用してきたが、究極的にはこの義体を産み、人類を進化させるための技術ではないかと思っている」
いつでもそうだ、閣下のお考えは揺るぎがない。
フォンターナは・・・いや彼女だけではない。インノケンティウスの幕僚たちは、皆そこに魅了されているのだ。
「だがフランカ。そのスーパーマンも、まだパズルのピースが一コマ足りないのだろう?」
フランチェスカ・フォンターナは、愛称で呼ばれてドキリとする。
「はい。レポートの通り、神経伝達速度向上の達成率が九十三パーセントです。伝達速度を向上させるための新物質のヒントがタブレットにあるとみていますが」
「このままだと桁外れの頭脳とパワーを活かしきれないことになる・・・というわけか。どの程度のロスを見込んでいる?」
「はい、机上計算にすぎませんがおおむね二パーセント程かと」
「仕方がない、それでも常人を遥かに超えるパワーを持つわけだからな、我々の堂々たる切り札だ」
インノケンティウスは、フォンターナに迷うことなく毅然と命じる。
「予定通りテストが終了した時点で、最前線に投入する準備をしておけ」
「アイ、マム」
クーリア・ロマーナ最高の頭脳は、薄い笑みを浮かべ、既に次の一手を思索していた。
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