第34話 第三章 知りたいとは思いませんか、文明がどこから来たのか。(15)

 日本語マスターの経緯でも驚愕したが、こうして教えていくと、ヴィオラは実に記憶力と学習能力が高い。

 一度情報を入力すると、ほぼ間違いなく手順をこなすし、ミスらない。

 カルボナーラだって、料理本を見ていたのは最初数秒ぱらぱらって程度で、調理中には一切見ていないのだから!

 ちょっと並の人間じゃないと感じたが・・・・やはり気にしないことにした。

 このあたりの切替えが、俺の良さかも。だって美少女に懐かれているんだから、いろいろ判断が鈍っても仕方がないだろ?

「たしかにうまい! すごいな。ホントに初めての料理かよ」

 ヴィオラはVサインを突き出してニッコリ笑う。

「だよねー、わたしって天才かも!」

 うーむ、この笑顔がたまらない。

 正直、勉強と研究に人生二十年を費やしてきた男子にとって、眩しすぎる。

「ね、これならわたし、ハチの生活でお役に立てるでしょ?」

「まあな。これならマジで助かる」

「やった! じゃあ「おまえを置いてよかった」って、絶対言わせて見せるからね!」

 うう、マジでかわいい。

 女子になぞ生涯縁がないだろうと思っていたから、懐かれているだけでも奇跡に近い。

 正直、心の奥底にはそんな自分になぜ超美少女が懐くのか、どうにも訝しむ気持ちもあったが、それも目の前の彼女の笑顔に消されていく。

 ◇◇

 内田からすると、見知らぬ少女が現れ、西郷をつけ回し、しかもその少女は記憶障害か何かで・・・どう考えても不審なことだらけである。

 ここは素直に警察に引き渡すことを勧めるつもりだった。

 ・・・のだが、急に事情が変わった。

 少女の身元照会の結果が来たからだ。

 国防軍情報部への照合にて空振りだったので(ここまでは想定通りなのだが)、アメリカ側に照会させていたところ、思わぬところでヒットした。

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