幕間 設定公開・筝天院籐司朗

 月に一度の令和ダンジョン設定公開。

 今回は初の魔討士ではない人……ネタが尽きつつある……片岡君の師匠、筝天院籐司朗です。


 相変わらず本編にはあまり関係ないので、読み物としてお楽しみください。


 他のを書いててちょっと更新が滞ってますけど……こっちを忘れてはいないので少し待ってください。



 65歳、長野県出身。

 180センチほどの長身、やせ型ですが鍛えた体格です。白髪混ざりの長髪を後ろで束ねています。

 和装を好んでおり、道場内では道着姿でいることが殆どです。

 

 矢塚部やつかべ一刀流という古流剣術の継承者で、もともとは長野で道場を開いていました。

 しかし、55歳の時に一人息子であり次代の継承者である息子を交通事故で失い、抜け殻のようになっていました。


 彼が60歳過ぎのころにダンジョンが出現。

 大混乱の中でダンジョン内で戦う能力を持つ者が発見され、一旦はなし崩しにダンジョン討伐が行われていましたが、富山城ダンジョンで檜村を含む死者を出す事件が発生。

 このあと、もう一度同じような事態を起こさないため、正式に魔討士協会の組織が設立されます。


 魔討士はもともと何らかの武術を修めていたような特殊な例外を除きほとんどが一般人です。

 しかしその一方で魔討士の能力を持つものしかダンジョンで戦うことはできないので、彼らに戦うための訓練を施すため武術、剣術などの使い手が各地から集められました。

 彼もそういう経緯で東京本部に招聘されています。


 本人は目的を見失っていて最初は嫌々という感じでしたが、今は自分の技を継ぐものが増えることを喜んでいます。

 


 時代劇の素浪人のような見た目、豪放磊落な言動と直線的で攻撃的な剣術のイメージと裏腹に、非常に計算高く合理的な面も併せ持っています。

 剣術とは生き残った者が勝者という考えを持ち、剣術に限らず結果を出せば手段は正当化されると考えている部分があります。


 正当な手段で失敗するくらいなら、多少ヤバい手段でも成功する方がいいという考えなので、必要なら非合法スレスレの手段を取ることもあります。

 作中で、知人を通してルーファの身分を偽造したのが一つの例です。

 

 とはいえ、善悪の区別がついていないわけではなく、私利のための行動することはありません。

 しかしはたから見ればモラルに欠ける行動であり、何度か問題になりかけています。 


 剣術師範を長く務めたため、合法非合法を問わず多方面に様々な人脈を持っています。

 ちなみに若いころには表ざたにしにくい修羅場もくぐっており、いわゆる反社会的な勢力ともつながりがあります。

 この辺りも無頼なイメージを助長しています。

 


 矢塚部一刀流は踏み込みの速さと一撃の打ち込みの強さを重視した、攻撃型、強襲型の剣術です。

 由来は江戸初期にさかのぼるかなり歴史ある流派です。


 古流の承継者ですが上記の通りの本人が合理主義者であるため、考え方は非常に柔軟で、魔討士は人間ではなく魔獣と戦うのだから対人戦を想定した剣術の型に拘らず、個々の能力を活かして戦うべき、と考えています。

 このため、自流の型に嵌めるようなことはせず、基礎的な技の習得を重視し、その先は自分なりの戦い方を編み出すように指導しています。


 また、単に剣術が強いというだけではなく、戦闘時の心の起き方や駆け引きにも通じ、心理戦にもたけた達人です。

 勝敗を決めるのは能力ではなく個人の心の持ちようである、というのが持論であり、剣術だけではなく戦いに挑むときの精神論などの指導にも熱心です。


 実力に裏打ちされた柔軟な指導法は評判がよく、片岡以外にも弟子がたくさんいます。

 たとえ駆け出しでも決して軽んじたりせず、中学生相手でも真摯に指導します。


 師範としても優秀ですが、本人の武芸にも衰えはありません。

 刀以外にも柔術もかなりの使い手で、素手でもかなりの強さを発揮します。


 65歳と既に老境に差し掛かりつつありますが、能力なしの純粋な武器での戦いではシューフェンなどのソルヴェリアの獣人に匹敵する強さを持ちます。



 趣味は酒を飲むことと剣の稽古と登山。

 定期的に長野に帰って墓の手入れをしつつ山に登っています。


 息子を後継者として剣術を教え込んだことを若い時は疑問に考えていませんでしたが、彼が亡くなった後に彼はどう思っていたのかということを今も考えています。

 

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