幕間 設定公開 魔討士と税金

 某所で現代ファンタジーの冒険者……本作では魔討士ですが、の税金がどうなっているのかという話題が上がっていたので、魔討士の税金について書いてみます。

 例によって設定マニアの独り言なので、本編には全然関係がありません。


 魔討士の収入は功績点により計算されます。功績点については後述。

 功績点に応じて魔討士協会から報酬が支給され、受取は現金、電子マネー、口座への振込など、本人の申請に寄り対応してくれます。


 功績点からはあらかじめ税金がひかれており、魔討士は特に税金を気にする必要はありません。

 魔討士協会には専門の部署があり、一年の最後の払い過ぎた税金を計算して戻してくれるサービスもしています。

 サラリーマン風に言うなら年末調整というやつですね。


 本業があって副業として魔討士をしているような人や、まだ少数ですが魔討士として企業とスポンサー契約したりしている人のために、格安で税金の処理をしてくれたりもします。

 要するに確定申告です。魔討士も確定申告をするのです。

 なんと世知辛い世界でしょうか……設定してるのは僕なんですが。


 税金を引かれている部分はさて置き、このように協会が色々とサポートするので魔討士本人にはこの辺の事務処理の負担はあまりかかりません。

 これは事務周りの負担が面倒で能力があるのに魔討士として活動しない、というケースを発生させないためと、能力持ちに高校生、大学生などの未成年が多いためです。


 自衛官である風鞍結、協会直属の専業魔討士である宗片十四郎、仙台編で出てきた四宮等は所属組織から給与を貰っています。

 彼らが魔獣を討伐した際の功績点の扱いについては契約によります。


 例えば、仙台フォレストリーフ・ウィザーズギルドは、四宮等の社員魔討士には給与を支給し、功績点は会社が取る形になっています。もちろん討伐実績によって給与に加算はあります。

 これは会社組織の維持を優先したためです。今後、所属魔討士の待遇が改善するかもしれませんが。


 宗片は討伐した魔獣の分の功績点も自分のものにしてよいという契約になっています。

 なので彼はかなりの金持ちです。



 ちなみに魔討士としての活動による収入には税制優遇があります。

 また、討伐実績が高い者は本業への税制優遇も受けることができます。


 このような優遇をしているのは一重に魔討士の数が足りていないからです。

 魔討士のイメージは魔討士協会の各種PRや、税制以外の様々な優遇措置があるため良好です。

 例えば片岡君は推薦枠がある大学なら乙類5位の討伐実績でほぼどこでも推薦で入学できます……本人は知りませんが。


 しかし、これらの様々な措置があっても、魔討士としての素質を持つもの(50人に一人くらい)については、性格が戦闘に向かない、能力が大して強くない、親や周辺に制止される、などのケースがあり実際に魔討士として登録するのは素質持ちの半分くらいです。

 登録に至っても、活動に熱心でないものもいるため、実際の戦力となっている魔討士はもっと少ないのが実情です。

 

 その一方で、京都府以外の全ての都道府県には定着したダンジョンが存在しており、不定期に野良ダンジョンも発生しています。

 このため、少しでも活動する魔討士を増やすことは魔討士協会のみではなく、国としても重要な課題なわけです。



 功績点はダンジョン討伐の際の倒した魔獣の強さや数により評価されます。


 そしてこの功績点は魔獣を倒した時に落ちるライフコアという結晶体により測定されます。

 ライフコアは水晶のような丸い結晶体でさほど重いものではありません。

 これを魔討士協会の事務局に持ち込んで評価してもらうわけです。


 これとは別に専用アプリが交戦ログを記録しています。

 なので、ライフコアをとれないような状況……たとえば定着したダンジョンで撤退中に戦いになって、ライフコアの回収より撤退を優先したとかいう場合とかでも功績点が消えたりはしません。

  

 功績点はパーティで頭割りです。これは絶対の規則です。

 金の配分がトラブルの種になることを避ける為です。換金後に分配したりするのは黙認されています。


 ただし脅迫的な手段でそれをやった場合やライフコアの強奪などをしたことが発覚した場合は、即座に資格取り消しとなります。

 これは魔討士同士の私闘と同じ最大の禁足事項です。


 パーティの頭割りについてですが、これはあらかじめ魔討士協会に登録しておくケースと、臨時パーティのケースがあります。

 例えば片岡、檜村、ルーファ、三田ヶ谷はパーティ登録してあるので、定着ダンジョンでの戦いは自動的にパーティ単位での戦闘として扱われます。


 二人でいる時に野良ダンジョンに遭遇した場合、アプリで最初に交戦確認をするときにパーティメンバーの名前を言えばその人数で認証されます。


 本作の第一話の様に完全にソロの状態で野良ダンジョンに遭遇し、偶発的に見知らぬ魔討士と共闘した場合、自動的にその場にいるものはパーティ扱いになります。

 戦闘終了後にこの編成を解除することは可能です。

 実はこれにより、功績点を独り占めにすることは出来たりもするわけです。


 ただし、前述の通りこれを脅迫的にやった場合は資格取り消しになります。

 これが起きるのは、明らかに一人が大活躍してダンジョンを討伐し、他が辞退するようなケースです。

 

 

 ライフコアは純粋なエネルギー結晶体です。

 これはクリーンなエネルギー源として利用方法の研究が進んでおり、一部はすでに実用化されています。

 これが魔討士協会の運営資金の一部になっています。


 まだこの世界ではダンジョンが発生して4年目です。

 今後ライフコアの需要が高まっていったら定着ダンジョンのダンジョンマスターを討伐せず、魔獣を倒してライフコアを回収するように、ダンジョンがある種の資源的な扱いになるかもしれません。


 戦術や訓練が洗練され、危険が減っていけば、魔討士も増えていく可能性はあります。

 また、シューフェンたちの異世界の住人と接点が公式に明らかになれば世界に巨大な影響を与えるでしょう。


 そういう意味ではまだこの世界は過渡期と言えます。

 どうなるかは作者の僕にも今一つ想像がつきません。

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