第130話 久しぶりの再会
昼休みになった。
久しぶりの数学と英語の授業はなんか疲れたな。
そろそろ受験も意識しないといけない……とはいえ、今なら何処かに推薦してもらうことくらいはできそうだけど。
三田ケ谷とルーファさんは自分の席で二人でご飯を食べている。
職員室で随分絞られたらしいけど、三田ヶ谷は未だに上の空というか幸せそうな顔だ。
昼ご飯はルーファさんのお手製の弁当だ。
一度おすそ分けしてもらったけど、スパイスというかハーブが効いた独特の味だったのを覚えている。異世界の味という奴なのかどうなのか。
「やあ、片岡君。久しぶりだね」
購買のベーグルサンドを食べているところで声をかけてきたのはパトリスだった。カタリーナが横で手を振ってくれる。
「本当に戻ってきたんだね」
11月末のあの戦いの後、一度彼らは帰国した。
戻ってくるという話だったけど12月中は音沙汰がなかったから帰ってこないと思ってた。
「カタオカ、スペインに来るって言ったのに……来ないじゃナイ」
「言ってない」
カタリーナが不満げな口調で言うけど、そもそも言ってないし、そんな中央線で新宿に行くくらいのノリで言われても困る。
「戻ってきたんだね」
「しばらくは俺とカタリーナが魔討士協会と
「イケスカナイ奴よ。イヤミなイギリスのエリート貴族様」
カタリーナが本当に嫌そうに言う。パトリスが咎めるようにカタリーナを見た。
「あ、これはオフレコデネ」
「強いの?」
確かヨーロッパの魔討士のシステムは
この二人よりは上ってことだろうか。
「ムカつくことに強いのよね……だから腹立つのよ」
「君達で言うところの甲の3位か2位並みだろうな」
パトリスが言う。パトリス達もかなり腕が経つけど、それより上ってことか。
2位と言えば思いつくのは七奈瀬君と風鞍さんだけど、あのクラスってことだろうか。
「この学校に来るの?」
「ああ、そうなるな」
ということは、高校生で甲3位クラス。本当だとしたら日本の高校生では最強に近いってことになる。
高校生は乙類と丙類は5位が最上位だ。甲は6位が一人いるらしい。
どんな人が来るのやら。
◆
「そういえば、今も銃持ってんの?」
こっちを見てる人はいないし、昼休み中の教室は賑やかだから誰も聞いてはいないだろうけど、ちょっと小声で聞く。
前に学校で会っていた時はヨーロッパの魔討士だなんて思ってなかったから考えもしなかったけど、渋谷で普通に銃で戦ってたってことは普段から持ち歩いているんだろうか。
「モチロンよ。鞄の中に
まさか学校にまで持ってきてないと思ったけど、持ってきているのか
カタリーナがしれっと言うけど……どうやって持ち込んだんだ。
「あとはこれカナ。KAHR PM9っていうのよ」
カタリーナがチェックのスカートをたくし上げた。
色んな意味でちょっと待てや、と思ったけど、右の太ももに映画で見るような黒いホルスターベルトが巻かれている。
ここまで持ってきてるのか。一応ここは日本なんだけど。
「だってさ、今突然ダンジョンが現れたらドウスルの。カタオカやパトリスは戦えるけど、アタシは銃が無いと何もデキナイ……そんなの嫌ヨ」
僕が言いたいことを察したのか、真剣な口調でカタリーナが言う。
「で、コッチは弾」
そう言ってもう一度スカートの逆側をたくし上げると、そっちにも黒いベルトが巻かれているのが見えた。
「銃がないとアタシは戦えナイからね」
「ちょっと待って、見えてるから」
白い太ももと、白いレースがあしらわれたスパッツ風の黒の下着がちらちら見えている。
「大丈夫よ、見ていいタイプだから」
カタリーナが言うけど、そういう問題じゃない。
「やめろ、カタリーナ。はしたない。騎士の端くれたる自覚を持て」
「
そう言ってカタリーナが小首をかしげてウィンクする。
パトリスが注意してくれたけど、まったく気にして無いって感じだな。
「いい、カタオカ?女の子のキレイはね、ツヨイと一緒で努力の結晶なのヨ。
男にはわからないかもダケド。アリガタク見てね」
カタリーナが言うけど、それはわかる。
それは筋トレとかいろいろやって分かった。男も格好良く筋肉付けるためには頑張って鍛えないといけない。
男女関係なく綺麗な体、格好いい筋肉やボディラインは努力の賜物だ
「最近はモデルも始めたノヨ、フォローしてネ」
カタリーナが言う。まあモデルが出来そうな美人ではあるけど。
ていうか、カタリーナは何となく漆師葉さんと気が合いそうだな。
ただスカートをひらひら上げるのはやめてくれ。
あらぬ誤解を招くし、僕まで職員室に連行される
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