幕間 異世界側の世界観・設定公開

 恐らく本編で書く機会が無さそうなので、令和ダンジョンの異世界側設定をここに書いてみます。

 ということで、設定マニアにお付き合いください。

 本編には全然関係ないので読み飛ばしてくれても問題はありません。



 世界の名前はアイディール・スラヴァーネ。現地語では「一なる世界」という意味です。

 元ネタはスラブ系言語で一なるスラブ、という意味の物をもじりました


 いわゆる地球とは違い魔素フロギストンが濃いため、どこでも魔法が使えますし、どこでも魔獣が現れます。

 近年は今までにの蟲や植物のような魔獣……ソルヴェリアでは刺槐ツファイ、日本では奥多摩系と呼ばれる魔獣……が頻繁に現れており、彼等との戦いが激しくなっています。

 

 この世界には大まかには三つの勢力がいます。


 一つ目は獣人による単一国家、ソルヴェリア皇国。


 二つ目は人間(人間はソルヴェリアでは祖人と呼ばれる)による連合国家。

 エルマルたちのサンマレア・ヴェルージャ王国は此処に属します。


 三つ目は人間やエルフのような亜人の少数民族。

 ルーファの部族もここに属します。


◆ 


 ソルヴェリア皇国のモチーフはキャラの服装の描写を見て頂くと分かると思いますが中国です。

 明あたりがイメージです。


 一国ではありますが内実は多数の獣人部族の寄り合い所帯であり、一番上は獅子系の部族です。

 彼らがいわゆる皇族です。恵まれた体躯と高い身体能力を持ち、金色の髪が特徴の氏族です。


 それ以外の氏族は一応対等と言う事になっていますが、実際は氏族間の上下関係はあります。

 ちなみにシューフェン達の狼人はかなり上位の氏族です。


 武勇を尊ぶ戦士の国であり、堂々と戦うことを重んじる国でもあります。

 こうなったのは、たくさんの氏族を規律正しく束ねるために統一的な規範が必要だったこと、そして強さという評価軸では獅子系の氏族が一番で、彼らに都合が良かったことが理由です。


 獣人は、それぞれが人間を超える身体能力を持つため、魔法(ソルヴェリアでは道術と呼ばれる)、その中でも特に戦闘系の魔法を軽んじる傾向があります。

 道術を得意とする氏族も居ますが、冷遇されています。


 これについては、個々の身体能力が高いため、余程強力な道術でない限り詠唱を待つよりも武器で切りつけた方が効果的であることが最大の理由です。

 また、戦場において詠唱する間は無防備で守られなければいけないというのが、臆病とかと謗られて武勇を重んじる気風に合わないというのもあります。


 このように魔法戦闘に関してはかなり遅れていますが、転移などに使われる儀式魔法的なものはそれなりに発展しています。

 彼らは戦闘には出ず官僚のような扱いを受ける為、軽んじられないわけです。

 また、薬草調合などの薬学や鍛冶、冶金、農業、料理などの技術的なものも高い水準です……国民全員が脳筋と言うわけではない。


 広大な領土を有する国家ですが、一方でその土地のかなりの部分が荒れ地でもあります。

 このため豊かな土地を有する西方の人間の連合国家と事有るごとに領土争いを起こしています。


 統一過程で戦争を繰り返したことや、魔獣の出現が多い土地であるため、男女の役割が極めて明確に分かれています。

 男は戦い、女はそれを支え家を守るという規範が一般的です。


 上記の通り、身体的な武勇が求められるため、相対的に男性より弱い女性は家を守るという役割を課されています。

 ……とはいえ、素の身体能力が高いため一部の氏族の女性は人間より強いケースも少なくありませんが。


 このような環境ですが、女性が軽んじられているわけではありません。

 彼女たちは自分の結婚相手を選ぶ自由がありますし、求愛する男は彼女に相応しい強さや人格を備えていることを証明しなくてはなりません。


 また女性が自分から気に入った男性にアプローチすることも珍しくはありません。

 これを「剣が良き鞘を望むように、鞘も良き剣を収めることを望む」という風に言われます。


 また、稀ですが、家を継ぐために男の格好をする女性もおり、そういうものも許容されています。

 とはいえ、その後婿取りをするのが一般的ですが。


 獣人は人間より少し年を取るのが早く、寿命も短めです。

 片岡君がシューフェンやグイユウを年齢より年上に感じたのはこういう事情もあります。



 二つ目は、サンマレア・ヴェルージャをはじめとした小国群です。

 ソルヴェリアの西方の平野部にあるため、西方連合国などとも言われています。ロガティツア協約という協約により同盟関係にあります。


 西域共通語という共通言語を持っていますが、それぞれ独自原語も持っています。

 モデルにしているのは、中世の東欧から中欧、ドイツやイタリアなどの小国群です。


 比較的農業に適した平原にあるためソルヴェリアとしばしば国境争いを巻き起こしている……というか一方的に侵略を受けています。

 このため、内部でも軋轢やちょっとした小競り合いはありますが、ソルヴェリアへの脅威により概ね団結しています。


 住人は普通の人間なので身体能力はさほど地球と大差ありません。

 魔法使いなどの魔法戦闘ではソルヴェリアよりかなり上です。


 魔法や魔法武器による身体能力強化があるため、戦士でも男女差はあまりなく女性戦士や魔法使いは珍しくありません。女王がいる国もあります。

 このため、男女の社会的な差はあまりないのですが、一方で才能があれば女性でも最前線に駆り出されるので、ある意味では過酷な環境です


 エルマルの母国であるサンマレア・ヴェルージャは、国境を山に囲まれ、国土のほとんどはなだらかな丘と広い平原が広がる自然豊かな国です。

 温泉も多く、温泉保養地も国内に点在しています。


 サンマレア・ヴェルージャは、ソルヴェリアに近い最前線に位置し長く戦い続けたためか独立志向が極めて高い国でもあります。

 小国ではあるものの優秀な魔法使いを多く輩出しており、少数精鋭の強力な騎士団を抱えています。国境線に山岳を天然の要害として、過去のソルヴェリアの侵略を退けてきました。


 西方連合国とソルヴェリア皇国が全面戦争に至らなかったのは、ひとえに各地に現れる魔獣という別の脅威があったためです。


 ソルヴェリア皇国が概ね統一を果たした時に、当時の皇帝が西方連合国に大兵力を率いて進軍したことがありました。

 しかし、西方連合国が頑強に抵抗をしているうちにソルヴェリア国内で魔獣が大規模に発生。魔獣を討伐しようにも主力が遠征中であったため国内が大混乱に陥り遠征に失敗した、という歴史があります。


 ソルヴェリア皇国はこの戦いでは撤退時に大損害を出したうえに、その後西方連合国はロガティツア協約を締結して結束を固めたため、ソルヴェリア皇国としてはこの遠征は大失態の黒歴史となっています。

 その後は大規模な戦争には至っていません。


 このように長らく対立を続けてきたソルヴェリアと西方諸国連合ですが、蟲系モンスターが大量に現れたことにより、局面が大きく変化しています。

 ソルヴェリアは協力して蟲系モンスターに当たることを求めており、ソルヴェリアの旗下に入れば支援を行うと主張しています。


 実質的には属国になる事の要求であるため、現在はそれに応じた国はありません。

 しかし現実のところ蟲系モンスターの出現に一国では対応できない国も現れており、連合の結束にはきしみが生じています。



 3つ目は少数民族です、ルーファもこれに属します。

 遊牧民や、独自の農耕、狩猟文化を持つ少数民族で、この中にはエルフやドワーフなどの亜人、一部の獣人も含まれます。

 モデル的には、モンゴルや中央アジアの遊牧民やアイヌ等です


 大きな集落を作らず村や氏族単位で独自の習慣を守りつつ生活します。

 それぞれに独自の言語を持っていますが、概ね同じ言語系統に属するため、どうにか意思疎通は可能です。方言同士での会話に近いイメージです


 土地が貧しい所に住んでいるものが多く、生活環境は総じて過酷です。

 ルーファの部族では、戦士の能力を持つ者は部族の為の戦闘を強要され、20歳になるまでに戦士同士で結婚して(下手をすれば結婚でさえなく子作りを強いられる)その能力を次代に継ぐことを求められていました。


 人口は少ないものの、比率的には優れた魔法の素質などを持つものが多い傾向があります。

 このため、過酷な生活から逃れるため、自らソルヴェリアや西方諸国郡に移住して仕官したり傭兵として戦うものも増えてきています。


 これらの少数民族に対してはソルヴェリアは侵略的であり、少数部族を版図に組み入れようとして何度も出兵しています。

 西方連合国は遠征して遊牧民を攻撃するほどの余裕がありませんので、特に対立はしていません。

 

 交易などで部族同士や上記勢力とそれぞれ交流がありますが、それぞれの関係性は部族の姿勢や位置によりかなり異なっています。

 

 ちなみに、少数民族が暮らす土地は比較的、蟲系モンスターが現れていないので、その影響は少なめです

 

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