第8話 キャラと目的をスピーディに明示する
前回までは、冒頭で世界観を手っ取り早く伝えるテクニックの話をしました。
世界観以外で、初っぱなに伝えておくべきことは何があるでしょうか。
個人的には「メインキャラと、そのキャラの目的」は早めに開示した方が良いと考えています。
「メインキャラの目的」とは、すなわち「その物語がどういう方向に転がっていくか」を示すものだからです。
では、具体的にどのような方法があるか考えてみます。
▼地の文で宣言する
一番手っ取り早いのは、地の文で「こういう話ですよ」と宣言しちゃうことです。
「これは二人の英雄による、大陸の覇権をかけた戦いである」みたいな感じですね。
ここで大事なのは、「誰が」「何をやって」「どうなるのか」をなるべくハッキリ書くことだと思います。
情報の欠落はあっても良いのですが、ぼやけた書き方をしてはいけない。
例を挙げて説明します。
【例1】
これは僕と先生の、愛と別れの物語である。
【例2】
これは、僕が大好きだった先生を殺す物語。
どっちが良いと思いますか? たぶん例2のほうがワクワクすると思います。
まず「殺す」という扇情的な表現は目を引きますし、「なぜ大好きな人を殺すのか?」という興味を引きます。「殺す」というのが直接的な殺人なのか、あるいは間接的に死に追いやったことなのか、あるいは何らかの比喩なのか……という関心も得られるでしょう。
また、「先生の死」というのが物語上の一つの山場であることも示しています。読者に「この先生ってキャラは死ぬので、そういうふうに死ぬか楽しみにしていてね」と言っているわけですね。
例1のほうは、なにかよくわかんないですよね。ふわっとしすぎている。
これだと読者は何を楽しみに読めば良いのか、いまいち分からないはずです。
▼村を焼く
もうひとつのお手軽な方法。それが「村を焼く」です。
「村を焼く」と言いましたが、要するに「ショッキングな事件を起こしつつ、主人公の退路を断ってしまう」ことです。
生まれ育った村を焼かれた主人公は、焼いたやつに復讐するしかないじゃないですか。
そういうふうに、主人公に特定の行動を強いるような事件を起こしてしまうのが、村焼きメソッドです。
バリエーションとしては、たとえば以下のようなものがあります。
・「これからみなさんに殺し合ってもらいます」(デスゲーム)
・授業中にテロリストが学校を占拠した(アクション)
・「廃部だ!」(部活もの)
・子供を産んだばかりの妻が死んでしまった(育児もの)
いろんなパターンが考えられますが、事件は衝撃的であればあるほど良いと思います。そのほうが主人公の目的を明確にしやすいので。
ほかにもいろいろなやり方があると思いますが、楽なのはこのへんでしょうかね。
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