第4話おいしいお味噌汁


亜空にいるときは、時間の流れが違い、現世うつしよの一分が

一日である


そのうえ、「勾玉」があればこれるので、多忙な「寺」や兄貴といった連中を呼べるわけだ


「まあまぁね」

娘はそう言いながら、大量にドカ食いする

「おいしかったーーあなた、料理人に転向したほうがいいわよ」


確かに、おいしいというか、寺をやめても「兄貴」は元仏法僧

肉と酒は口にしない


だから、料理に関していうなら、精進料理系になるはずなのに

おみそしるに付け加えたこれはどう見ても見覚えがない


「ああ、これかーーこのお漬物な、ご近所さんからいただいたんだよ」



「兄貴ーー」


兄貴が結界を張るーー、亜空間にあるもう一つの寺を「守護」するのだ



ーーーお坊さんの結界というのは、基本術者の念をこめーー真言マントラ

唱えることで成立する


この時、仏様を「気合」で作った「お堂」に入れると表現するものもいる


とりあえず、神の力を借り作り上げた結界は、術者の気合が、続く限り

結界としての役目ができる

だから、術者が寝ちゃったり、倒れちゃったりしたら、結界は解除される

「--バン、ウン、タラク、キリク、アク」


そう唱えながら、印を結び続けるーー「ナウマクサマナンダバザラダンセンダマカロ

シャダソワタヤウンタラタカンマン」


坊主独特の節がある、音の読み上げ方

そして、真紅の光が、包み上げるお寺を



ーーそして、囲う、<亜空間>で妖怪を払ってる者たちが、帰ってきますように

無事に帰りつける場所でありますように、と願いを込めーー必死に「お堂」を成立させる


「出陣よーー行くわよ」

結界の外真っ暗な闇の世界へ飛び出す、彼女



ーーお寺をでたら、「守護領域」を出るということを表す、つまりむき出しの悪意と戦わないといけない、ということだ


「上等、、、、やってやりますよ」


そういって、武器を取り出してもよかったのだが、今日はそういう日ではない

今日は、仕事始め


なので、比較的安全である場所で、体を慣らしつつーー帰って、お寺で、おはらいをしるということなのだ

「ちぇ、つまんない」

ーー個人的にはもっと打ち合いしたかったな

そう感じつつ帰る


一応、こんなんでも「結界」を張るのは規則だ



ーー「行方不明の人が出ました」

そういう報告があった

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