第6話

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「ロボ男お前ぇあったまわりぃなぁ。俺は『影』なんだぜ。影ってぇのはさぁ、太陽あっての物種だ。『夜』になんてなってみろ。俺たちはたちどころに消えちまぅんだ」

 

 #おお、成程。つまり影様は本当の『シャドウ』でいらしたんですね。道理で熱量反応も有機生命体反応が無い訳だと思いました。


 ロボ男の頭が360度回転して、ピピと音を鳴らす。

「わかったのならそれで良い」

 そこで影が止まった。


 #どうされました?影様?


「見ろ。身体が細くなってるだろう」

 見れば言う通り影の身体が細くなっている。

「休憩だ。ここで太陽の陽を浴びて影を太くする」

 言うや砂漠の上に大の字になって倒れた。

 暫く横になっていると確かに徐々にだが影の身体が太くなってゆく。


 #おお、身体が元通りになっていきます


 ロボ男が驚いて、腕を動かす。


「俺もお前もエネルギーはこの太陽だ。だから無限大と言いたいとこだが、いけねぇことに影は動いていると段々細くなる。まぁ細くなるとこうして暫くゆっくりとしてりゃ元に戻るが、実は細くなりすぎた影はもとに戻ることができないんだ。理由はわかんねぇけど」

 言ってから何かを思い出したのだろうか、ゆっくりと言葉を吐き出した。

「細くなって動けなくなった仲間の殆どは『夜』が怖くて、急いで『ブジ』に行きたかったんだろうな。細くなりすぎちまった奴はもう元には戻れないことを知ってるのに、それでも無理して歩いて結局、『夜』に呑み込まれちまって消えた」

 

 ピコピコとロボ男のディスプレイが動く。


「何だ。記録してんのか?」


 #はい、動画として声と影様の姿を記録しています。

 もし『夜』に呑み込まれてしまって消えてしまったときの記録用に


 それを聞くや、影ががばっと起き上がった。

「何だと!!てめぇ!!」


 ロボ男が慌てて言う。


 #冗談です。お気になさぬように。あっ身体がもとに戻ってきましたよ。それでは歩きましょうか? 

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