第2話 出逢

「…」

思い出せない…

「何処だ…」

古臭い廃墟、化学物質の匂い…全てがない。

「…」

何故か涙が流れていた

「空…」

見た事もなく、夢の様に青い空…ただそれだけを見つめていた。

ここは天国なのか、違う国に飛ばされたのか…

「生き延びる…」

生い茂る木々の中を歩き回る、行く宛てもなく…ただただ。

「木、集めるか…」

このままだと火がない、いつ襲われるかも分からなく死ぬのはこめんだ。

そう思っていた…

「おーい」

俺は咄嗟に後ろに周り込み、逃げ場を無くす。

「ひゃ!?」

耳と尻尾が生えているのを目にした。

人体実験されたのか…?

「すまない、勘違いだった。」

「みゃ…」

(バタンッ)

「…あ。」

やってしまった。

「置いて行く訳には…行かないよな」

彼女を背負う。

「…」

「後で話を聞かないとな…」


すっかり夕方になってしまった

「ここはどこなんだ…」

安心出来ない、でも戻りたくはなかった。

幸運に、銃や手榴弾、サバイバル用具は付いたままだった。

「暖かい…」

薄々気づく。

山が光っている、でもあれは…青色…?

「もう考えるのは辞めておこう…」

気絶していた間何が起きたのだろうか…

全く覚えてない事を考えるうち

彼女の目が覚めた。

「うぅ…」

「…起きたか」

「あれ…ここは?」

「話を聞きたいと思ってな、連れてきたんだ」

聞きたいことが山ほどある

「その耳はなんだ…?」

「みゃ…?」

「いや、なんでもない…」

気に触ったか…

「あなたはどうして耳と尻尾が付いてないの?」

意味が分からない

「え〜っと…」

「あなたはなんのフレンズ…?」

「フレンズ…?」

コードネームか…?

「そう、私はサーバルキャットだよ!」

「サーバルキャット…ネコ科の動物のか?」

「そう!サーバルキャットのサーバル!」

次々疑問が出る前に単純な話を聞こう

「それと…ここは何処なんだ?」

「ここはジャパリパークだよ!」

「色んなフレンズが居るんだ〜♪」

「…」

「あなたは何処から来たの…?」

全く分からない…

「起きたら森の中に居た…それだけだ。」

「そっか」

「なぁ、動物がフレンズなら…俺はフレンズなのか?」

「うん、みんなフレンズだよ!」

「あなた…なんのフレンズか分かる?」

「人間だ。」

「にんげん…?」

「別名、人とも言うな…」

「そっか〜!」

「まだ名前を言ってなかったな…」

あれ、俺の名前なんだっけ…思い出せない…

「…すまない、忘れてしまった」

「えー!?」

「…」

「えっと…」

「じゃあ、にんげんちゃん!」

「長くないか…?」

「う〜ん…じゃあ、げんちゃんでどう?」

「悪くないな」

ここの事が分からない…

「ついて行っていいか…?ここの事が分からないんだ。」

「分かった!」

「よろしくな、サーバル」

「うん、よろしくね!げんちゃん!」

「ちゃんて…」

睡魔が襲う

「すまない、一眠りさせてくれ。」

「何かあったら私ががんばっちゃうよ!」

「あぁ、助かる…」

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二十年後の君へ ダンサーバル @Araisaninfo

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