電音の愛し姫

作者 押見五六三

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★★★ Excellent!!!

 不可解な死を追うミステリーから、

 不思議な呪いに恐怖するホラー、

 見え隠れする黒幕と、物語のキーとなる、ボーカロイド。

 オリジナルな設定を貫きながらも、キチンと基本を踏襲する、良作です。

 ちゃんとした知識があるからこそ書ける物語。
 決してセンスだけの作品ではない。

 

 

★★★ Excellent!!!

電子音楽部に所属する男子高校生のツナは、ある日、友人のタクが自宅の部屋で変死体となって発見されたという知らせを聞かされる。外傷がないにも関わらず内臓が破裂するという不可解な死因に疑問を抱いたツナは、死の真相を探るうちに一曲の音にたどり着く……。

 ボカロやDTMという電子音楽に着目しつつ、「音楽で人は殺せるか」をテーマにミステリーを描いた異色の作品です。

 ツナは被害者が死の直前に音楽を聞いていたことを手掛かりに、音による呪術や言霊、超常現象はありえるのかと女子高生巫女をブレーンに捜査をはじめる。

 曲を機材にかけて分析してみると、そこにはツナにも馴染み深いボーカロイドを悪用した仕掛けが隠されていてと、オカルトとデジタルの融合した殺人トリックに慄きます。

 ツナの周辺で同様の事件が立て続けに発生し、危険な曲をバラ撒く黒幕の正体に迫っていく緊張感がハラハラドキドキさせます。

 音楽は人を魅了する素晴らしい文化である一方、人を狂わせる危険な魔力も持っている。音楽との付き合い方を考えさせられる一作です。


(音楽を題材にした作品特集/文=愛咲 優詩)