『まえがき/Preface』

File-03『作者による、本件の途中報告』

 どうも、お 久しぶりです。

 LINE文庫から『空想東京百景』シリーズ最新作『メトロポリス探偵社 空想東京百景〈令〉』が出たのが、2019年末でしたが、その直後にLINE文庫が休刊してしまったので、奇書どころかになってしまいました。

 まあ、電子書籍では入手可能なんですが、現状、シリーズ新作の目処は立っておりません。困っちゃったな。


  †††


 2020年は電撃文庫で『桃瀬さん家の百鬼目録』という小説の作業をしていましたが、それも無事終わりまして、半年間の休養も明けたので、久しぶりに〈夜話〉を書いてみようか、と。

 ちょうど、作中の重要な日付である「8月10日」なので、それにまつわる記述を見直してみました。

 物語の進行上、時間軸がよく飛ぶ話なので、昭和二十年八月前後のエピソードをまとめたディレクターズカット版、という感じですね。


 いちおう、講談社BOX版『〈V3〉殺し屋たちの墓標』の後日談という形になっています。そこへ至るまでのネタバレは特にないと思いますが、未読の方はこの際、本編シリーズを揃えていただければ幸いです。

 紙のほうはもう売ってないんですが、電子書籍では全巻揃いますし、講談社と一迅社はときどきセールもやってます。


  †††


 なお、『空想東京百景』シリーズの本編は、講談社BOXから全3巻、一迅社から全1巻、LINE文庫から全1巻が刊行されています。


 ①講談社BOX『空想東京百景』

 ②講談社BOX『空想東京百景〈V2〉殺し屋たちの休暇』

 ③講談社BOX『空想東京百景〈V3〉殺し屋たちの墓標』

 ④一迅社REXコミックス『空想東京百景〈異聞〉Strange report』

 ⑤LINE文庫『メトロポリス探偵社 空想東京百景〈令〉』


 ①~④が、昭和三十年代を舞台とした〈昭和篇〉、⑤が令和を舞台とした〈令和篇〉となっています。そして、他の小説も世界観をいくつか共有しています。


 ①小学館ガガガ文庫『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』

 ②ハヤカワ文庫JA『咎人の星』

 ③電撃文庫『桃瀬さん家の百鬼目録』

 ④電撃文庫『桃瀬さん家の百鬼目録2』

 ⑤ノベルバ『ぼくには孤独に死ぬ権利がある』(『咎人の星』完全版)


 『百景』シリーズには、いくつかの〈魔術的科学〉オーバーテクノロジーが存在していますが、それらの由来は『漆黒のアネット』と繋がっていて、世界観も地続きです。

 あと、ポール、ペン、アネットが〈V2〉〈V3〉に登場しています。ポールは蓬莱樹一郎(二代目)、アネットは矢ノ浦太郎字とそれぞれ因縁がある、という設定です。


 『咎人の星』と、その完全版『ぼくには孤独に死ぬ権利がある』は、元になった漫画が『百景』と同時連載だったので、魔銃にまつわる設定が共通です。

 隼太、香名子、太郎字のように、同じ名前のキャラクターもいくつかいますが、『百景』の世界観とはパラレルで、繋がってはいません。

 というか、『百景』に宇宙人は出てこないので……。


 『桃瀬さん家の百鬼目録』は『メトロポリス探偵社』と同時進行で書いていて、舞台も令和の〈東京〉なので、完全に世界観を共有しています。

 『メトロポリス探偵社』には『桃瀬さん家』の発売前なのに、ヒロインの桃瀬みろくがゲスト登場していますし、『桃瀬さん家』では〈浅草の翁〉が〈03〉の出自を語っています。

 ただ、『メトロポリス探偵社』で〈03〉が語っているように、多層混淆世界の表示レイヤーが異なるため、『桃瀬さん家』の世界には「三発目の新型爆弾投下」という事象がなく(ラスボスも広島と長崎にしか言及していません)、それに伴う歴史改変の影響も希薄です。

 そのため、『メトロポリス探偵社』の異能者たちが直接事件に介入することもできませんが、基本属性が人間サイボーグですがの〈03〉だけは、両方の世界にある程度干渉できます。


 多層混淆世界というのは、多元宇宙マルチバースの一種ですが、Photoshopの表示レイヤーみたいな構造になっていて、レイヤーに合わない属性のキャラクターは、その世界に干渉することができない(表示されない)、という仕組みです。

 

  †††


 まあ、そんな感じで、2番目の〈夜話〉、『行きつ戻りつのゆりかご/Cradle going back and forth』を短期集中でやってみます。


 それでは、ゆるりとお愉しみくださいませ……。

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