第4話 王貴血者
その後の道程に、問題は無かった。
街道に合流後、馬を借り、ロマニアへと駆ける。
ロマニアに到着後、リリーは根回しがあるからと、ルシフと一旦別れ。
そして……
王立高等魔導学園リュケイオン。
その会議室の一室で。
リリーは、ディアナを呼び出した。
「王女殿下、本日もご機嫌麗しゅう。この度の祭事、お疲れ様でした。随分お帰りが遅かったですが、何かあったのでしょうか?」
「ええ、盗賊に襲われただけよ。頼りにしていた親衛騎士のローザも……」
「ローザさんが?!それは……でも、王女殿下が無事だっただけでも……」
ディアナが、青くなるが……同時に訝しむ。
どうして自分が今、その情報に接しているのか。
ディアナは、有力貴族の令嬢。
決して身分が低いわけでは無いが……高い訳では無い。
リリーとディアナが口を聞いたのも、数える程度。
無論、ディアナから話しかけた事など無い。
まさか……
ディアナは、ある可能性に思い当たる。
襲撃したのは……自分の……身内?
お父様が……?
まさか……お父様がそんな事を……
「まあ、襲撃の事はどうでも良いのよ」
「良いのですか?!」
ディアナが目を白黒させる。
ますます、自分が呼ばれた理由が分からない。
「貴方、ルシフの世話をする様、父君から依頼されていますね?」
「ルシフ……ですか……?お父様から……ひょっとして、深海の魔女アカネア様の……?」
「そう、魔女アカネアの孫、ルシフよ」
「はい、それは聞いています。まだ学園に着いていないと認識しておりますが」
リリーは、ディアナの肩を叩き、
「その役目、私が引き受けるわ」
「な、駄目、駄目ですよ?!魔女アカネア様は信頼できるお方、そのお弟子たるルシフさんも、決して悪い方では無いと思いますが……王女殿下が接触するのは危険過ぎます!」
「せ……接触って、手を繋ぐ事すら許さないって言うの?!」
「そもそも、お会いする事すら危険だと……って、どうして王女殿下がルシフさんの事を……?」
リリーは、胸を張ると、
「私を盗賊から助けてくれたのが、ルシフだったのよ。あれはきっと運命、私はあの人の物になりたい……リリーさん、貴方もルシフに手を出したら許さないからね」
「何を仰るのですか、王女殿下?!」
ディアナが悲鳴を上げる。
「王女殿下は、王族ほぼ最後の血族……由緒正しきお方と結ばれ、王国存続の……いえ、勇者の血を次代に継いで頂かねば……」
「ルシフは強いわ。きっと優秀な子供が生まれるわよ」
「ルシフさんは
「あら、アオロ伯の御令嬢は、
「意地悪を仰らないで下さい……貴方は
最後の勇者の血が、魔物と血と混じり合う。
ディアナは、その恐ろしさにぞっとする。
そもそも、魔物の天敵たる勇者の血、クウォーターと言えども、反発してしまわないか……
「もう決めたのよ。私は、あの人の物になるわ。文句があって?」
「いえ……出過ぎた事を申しました」
ディアナは、項垂れてそう言った。
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