梨友視点:パート7

月曜日。

なんだか瑠花ちゃんがそわそわしている。

そしてトイレに行こ?と言われる。

いつもの声のトーンではない。

なにか重要な話がある。

そう直感した。


トイレに入ると信じられない事を瑠花ちゃんが話し始めた。


「音亜が私を殺すかもしれない。帰り道少し離れたところ誰か着いてきてないか見ておいて。もし着いてきてたらそのままにして、私が万が一何かされたら救急車を呼べるように待機しておいて。」


なんで瑠花ちゃんが殺されなきゃならないの?

なんでそこまで音亜は瑠花に執着するの?

頭が追いつかない。

言葉さえ何も出てこない。

瑠花ちゃんが…殺される…?


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


パニックに陥ってる私に冷静な瑠花ちゃんの声が響く。

そのお陰でなんとか理性を保てた。


「梨友。あそこまで狂った人間は何をしでかすか分からないの。あなたしか頼れないの。」


あなたしか頼れないの。

なんて甘美な響だろうか。

あぁ、私の所有者が私にお願いしてくる。

こうなったら断れるわけないじゃん。

コクコクと何回も頷く。


帰り道。

言われた通り瑠花ちゃんのかなり後ろから観察していると瑠花ちゃんを追う影が1つ。

音亜だ。

手には…サバイバルナイフを持っている…。

瑠花ちゃんの悪い予想が当たってしまった。

それでも私は瑠花ちゃんの言う通りにせねば。

スマホを開き、119とダイヤルし、いつでもかけられる状態で待機する。

そしてそれは起こった。


瑠花ちゃんにナイフが突き刺さった。

音亜は直ぐにその場を去り、いてもたってもいられなくなった私は瑠花ちゃんに駆け寄りながら救急車の手配を必死に泣きながら喚きながらお願いする。


段々と目が閉じられていく瑠花ちゃん。

絶対に死なせるもんか。

神様お願いです、どうか、どうかこの子だけはお救い下さい。


すぐに救急車がやって来て、救急隊員の人が手際よく瑠花ちゃんを救急車の中に運び入れる。

私もついて行かせてくださいと懇願し、なんとか同乗を許可された。

瑠花ちゃん死なないで。

私に出来るのは処置を受けている瑠花ちゃんの手を握ることくらいだった。


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