音亜視点:パート5
土曜日。
約束した展望台に3人集まる。
「なんで瑠花は私のものじゃないの?仲良しじゃなかったの?なんでそんなチビと一緒なの?」
余計な事は言わず、ストレートに聞く。
思いもよらない返事が返って来る。
「仲良しだと思ってたのはあんただけ。ずっと鬱陶しかった。ストーカーして何が楽しかったの?なんで付き纏ってくるの?なんで私の人間関係の邪魔をするの?あんた自分がおかしいって気付いてないでしょ。それもほんとに無理。私は最愛の人を見つけたの。もう邪魔しないで。」
目眩がする。
嘘でしょ。
完全に否定された。
そんなはずがない。
あってはならない。
嘘だ。
「嘘だよね……?」
「嘘をつくと思う?」
イライラした目を向けてくる。
完全なる敵意。
「わ、私は……瑠花が1人にならないように……。」
「残念だけど、私はクラスの人と案外仲が良いんだよ。あんたにバレないようにスマホの連絡先を交換して連絡してたの。あとあんたにはこれに耐えられないと思う。おいで梨友。」
瑠花の少し後ろにビクついてた梨友と呼ばれたチビが明るく、幸せそうな顔をしながら瑠花に近付く。
瑠花も嬉しそうな顔をする。
おかしいおかしいおかしいおかしい。
あんな顔私と一緒にいる時じゃ絶対にしなかった。
梨友が瑠花の側まで行くと、瑠花が梨友の頭を愛おしそうに撫でる。
そこからが衝撃だった。
いきなり、なんの前触れもなく腹を殴ったのだ。
「瑠花……何して……。」
殴ったこと自体理解できない。
加えて梨友も苦しんではいるが、幸せそうな顔をしてるのも理解できない。
何なのこいつら。
「あなたと家族から受けてるストレスや苦しみを梨友は分かちあってくれるの。」
そう言ってもう1回殴る。
梨友の嗚咽が漏れるが、るかは気にしていない。
「あんた達……おかしいよ……。」
「音亜。あんたがこれに耐えられるならあんたとの付き合い方も見直さなくはない。」
そう言われ、自然と瑠花の方に近付づいてしまう。
私の世界には瑠花がいないとダメなのだ。
瑠花が思いっきり私の腹を殴る。
今までに受けたことの無いような苦しみ。
息さえまともに出来ない。
こんなのを喰らってなんで梨友は平気なの……。
私には無理だ……。
本能的に距離を取ってしまう。
「やっぱり、あんたは私を心配してたんじゃなくて、自分のために私を捕まえておきたかったんだね。」
「あ、あ、ちが、そんなはず……。」
何がなにやら。
まともに思考すら出来なくなる。
私は何も言えなくなり、逃げるように帰るのだった。
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