梨友視点:パート4

最近の瑠花ちゃんは落ち着いている。

1番大きいのは音亜が話しかけてこなくなったことだろう。

あとそれと私を殴ることによってストレスが緩和されているのなら幸せだ。

少しでも救いになれている証拠だから。

こんな日が続けばいいのに。

そう思っていた。


金曜日。

音亜が瑠花ちゃんに話しかけた。

かなり大きな声だったため、クラスの人全員に聞こえていたのではないだろうか。


「今度の土曜日、あの子と一緒に展望台に来てよ。」


と指を刺される。

怖い。

とにかく怖い。

体が震える。


「なんであの子も?」


「なんでも。12時に絶対に来てね。」


「わ、わかった。」


ものすごい剣幕だった。

休み時間に瑠花ちゃんから目配せをもらう。

合図だ。

人が少ない階の女子トイレに瑠花ちゃんとは違うルートで向かう。

女子トイレに入ると周りを確認し、すぐにお腹を殴ってきた。

体が自然と曲がってしまう。

慣れようとしているのだが、どうしても慣れない。

でも、瑠花ちゃんが私を頼りにしているということを実感すると幸せな気持ちになる。


そして首に手をかけられ、息をすることが出来なくなる。

目がチカチカしてきた所で解放される。

今日は荒れてるなぁと感じ、なんとか会話をする。


「瑠花ちゃん……今日は……機嫌悪くなっちゃったね……。」


理由は1つしかない。

音亜が話しかけてきたことに加え、無理やり約束を取り付けたからだ。


「うん……。」


私は絶対に瑠花ちゃんのそばを離れない。

だからこそ、勇気を持とう。


「私……行くよ……。怖いけど……。」


「そんな、無理して着いて来なくていいよ。」


あぁ、私のことも心配してくれるんだ。

でもそれよりも私は瑠花ちゃんの近くにいたいし、音亜に取られたくない。

1つの案が浮かぶ。


「瑠花ちゃんと私の関係を目の前で見せればこれ以上付き纏われないと思う。これに耐えられるか試してあげるの。」


「なるほど……。その意見、もらうわ。」


「良かった。」


素直に受け取って貰えたみたいで喜ばしくなる。

幸せと喜びで1つおねだりをしてしまう。


「ねぇ、瑠花ちゃん……その……。」


瑠花ちゃんのキスが欲しい。


「仕方ないな。ほらこっち向きなよ。」


面倒くさそうにけれど愛情籠った手つきで髪を引っ張られ、唇を無理やりのように合わせられる。


あぁ、私の瑠花ちゃん。

絶対に絶対に絶対に私だけの人じゃないと嫌。

例え私が死ぬことになろうとも。

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