瑠花視点:パート4

梨友に告白されて付き合ってから私の精神状態はだいぶ緩和された。

……まぁ私が何かあった時に梨友を呼びつけ殴っているからなのだけれど。

リスカもしなくなった。

しかし、カエルの子はカエルとはよく言ったものだ。

最初は絶対に親みたいにならないと将来、カエルになることも想像つかないオタマジャクシみたいだったが、育つと変わってしまうものだと実感した。


落ち着いた生活の中、1つの暗雲がやってきた。

最近話しかけなくなった音亜がこっちに歩いてきた。

物凄い黒い表情をしながら。


「今度の土曜日、あの子と一緒に展望台に来てよ。」


と指さすのは梨友の方。

梨友はびくりとし、ガタガタと震えている。


「なんであの子も?」


「なんでも。12時に絶対に来てね。」


「わ、わかった。」


断ったら殺されると感じた。

それ以降、また話しかけてくることは無くなった。

休み時間に梨友に目配せし、あまり人が来ない階の女子トイレに向かう。

梨友が少し遅れて入ってくる。


扉をしめ、中に人が居ないのを素早く確認する。

そして殴る。

顔は痣とかつけてしまうと目立つため、必ず腹を殴る。

小さい、華奢な体がくの字に折れる。

最近は暴力を振るうのが快感になってしまっている。

でも梨友は幸せそうな顔をする。

そして首に手をかけ、少しの間だけ絞める。

苦しそうな表情の梨友が愛おしい。

手を離すと、ゼェゼェと息を吸う梨友。


「瑠花ちゃん……今日は……機嫌悪くなっちゃったね……。」


「うん……。」


「私……行くよ……。怖いけど……。」


「そんな、無理して着いて来なくていいよ。」


梨友は息がやっと整ったのか、普通に話せるようになった。


「瑠花ちゃんと私の関係を目の前で見せればこれ以上付き纏われないと思う。これに耐えられるか試してあげるの。」


「なるほど……。その意見、もらうわ。」


「良かった。」


えへっと顔をくしゃませる梨友。

その顔も物凄く愛おしい。


「ねぇ、瑠花ちゃん……その……。」


もじもじし始めた梨友。

キスをおねだりしているのだ。


「仕方ないな。ほらこっち向きなよ。」


髪をぐいと引っ張り、無理やり顔を自分の高さに合わせ、唇を合わせる。

こうすることで私も落ち着きと勇気を貰えるのだった。

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