梨友視点:パート2

今日、嬉しいことがあった。

僅かな隙間を縫ってあの瑠花ちゃんが話しかけてきてくれたのだ。

このチャンスは絶対ものにしなければならない。

必要最低限で頭で理解し返す必要がある。


「これ、私の連絡先だから学校終わったら友達追加しておいて。あと、あなたの名前を教えて?」


紙を渡され、それを誰にもみられないようにスマホのケースの裏側にしまう。

そして、彼女のことを誰よりも心配しているというのが伝わって欲しいという思いと共に1文だけ加える。


「分かった。追加しとくね。私の名前は梨友っていうの。よろしくね。毎日音亜ちゃんにつきまとわれて大変だね。」


顔が少し明るくなったのが目に見えた。

やった、これで近付ける。

そそくさと席に戻る瑠花ちゃん。

その直後に音亜が戻ってくる。

危なかった。


家に帰り、連絡先を即座に追加する。


「梨友です。友達追加しました。」


ドキドキしながら返信を待っていると電話がかかってきた。

思いもよらない幸せ。

すぐに出る。


「大丈夫だよ。土曜日ね、わかった。場所どうする?12時……少し遅れるかも、でも大丈夫だよ。じゃぁね。」


最高だ。

土曜日に憧れの人とお出かけできるなんて。

その日が来るまで、まるで小学生が次の日楽しみにして眠れないように、ろくに寝れなかった。


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