瑠花視点:パート2

ダメだ。

素っ気なくしても音亜には関係ないみたいだ……。

昨日視線を合わせた子に声をかけたいのに……。

今日も声をかけられないのか……。

そう思っていた矢先、トイレに向かった音亜。

今しかない。

視線を合わせたこの席に向かい、必要最低限の事だけを伝える。

そうしないとすぐに音亜が戻ってきてしまう。

ポケットに入れて置いた予め私の連絡先を書いた紙を取り出しながら話しかける。


「これ、私の連絡先だから学校終わったら友達追加しておいて。あと、あなたの名前を教えて?」


私と音亜の関係を今まで見ていたのか、物分りよく答えてくれる。


「分かった。追加しとくね。私の名前は梨友っていうの。よろしくね。毎日音亜ちゃんにつきまとわれて大変だね。」


この人なら私を大事にしてくれそうだと感じる。

大変だねとは他の子も言ってくれるが、あたかも自分は関係ないみたいな口ぶりなのだ。

でもこの子は違う。

ちゃんと私のことを心配してくれている。


「梨友ね。覚えた。また後でね。」


そう言って席に戻る。

その数秒後音亜が再び戻ってきて、またどうでもいい話をし始めるのだった。


学校が終わり、部屋でスマホを確認したところ、梨友から連絡が来ていた。

気が付いたら梨友に電話していた。


「もしもし梨友?あぁ、ごめんね突然。今大大丈夫?次の土曜日お出かけしない?え?場所?そうだなぁ……西モールはどう?時間は12時からで大丈夫?あ、うん、わかった。じゃぁ次の土曜日西モール12時ね。じゃぁねー。」


電話が終わり楽しみができたことに少し安堵する。

再びお父さんが帰ってきて母親に暴力を振るい、母親が私に暴力を振るう。

やりきれなくなった私は引き出しを開け、カッターナイフを取り出し、生まれて初めてリスカなるものをしてしまったのだった。




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