遠慮と猫かぶり。

結婚して最初のころ、今にしたら笑ってしまうようなヘンな時期があった。


私は、結婚前の一人暮らしの家では、たいていテレビをつけていた。

勤めていた会社はどこも、業種柄もあって、常に最低限ラジオはついている環境だった。

それに加えて、局の数だけテレビを並べて、常時、各局の放送を映し出してる会社もあった。


そのおかげで、ニュースや番組やコマーシャルから、いま世の中で何が起きてるのか、何が流行っているのかが自然と耳に入って、社会の動きみたいなものも把握できてたのだと思う。


それが結婚してわりとすぐのころ、友だちに会って話していたら、「え、あの事件、知らないの!?」と驚かれた。


世の中で起きてることがまったくわからなくなっていた。

意識していたわけじゃないけれど、結婚してからテレビからもラジオからも遠ざかってたのだ。もともとインターネット等で自らニュースを読みにいく習慣もない。


もちろん、流行っている歌も知らない。

これじゃあ、あまりにもさびしいと思って、会社勤めの時と同じ環境にすべく仕事部屋でラジオを聞くことに。

だけど、電波があまりうまく入らず諦めた。


そもそも、どうしてこうなっているのか自分でも不思議で、考えてみた。


夫はテレビがキライ。

決まった好きな番組だけは見るけど、ザッピングはもちろん、「何かおもしろいのないかな」ととりあえずテレビをつけてみることもしない。


だから、夫がいる時には、ほとんどテレビをつけない。

たまに私がどうしても見たいものを見て、見終わったあとにそのままついてると、イヤな顔をされたりもする。


きっとそのせいだ。それで無意識に、テレビと距離を置く感じになっていたのだろう。

本当は私自身も、だらだらと一日中テレビがついてるというのをよしとしてるわけでもなかったので、結婚を機に変われるならそれもいいなと、漠然と思っていた気もする。


あと、振り返ると可笑しいのだけど、まだ結婚生活が板についてなくて、お互いに振る舞い方が定まらないまま、手探り状態が続いていたというか、「遠慮」みたいなものがあったんじゃないかとも思う。


夫は、結婚前は飲みに行かない日も、家で必ず飲んでいたらしい。

私は、いつでも好き放題におやつを食べる生活だった。


そういう、自分をコントロールせずに甘やかしてるような自堕落っぽいことを、二人とも結婚してからやらないようになっていた。


多少、自分をよくしたい、よく見せたい気持ちもありつつの、まだ自然体で好きなように振る舞えない遠慮みたいなものもありつつで。


私のテレビも、その一つだったのかなと思う。

平日、夫がいない昼間に見ようと思えば見られるのに、まだ馴染んでない新居で、夫の持ち込んだテレビで、結婚したからこそ与えられたと言ってもいい昼間の自由時間に、だらだらテレビをつけてるというのが後ろめたいような気持ち。


でも、時とともに二人とも、そんな初心(?)はどこへやらで。

今、私はテレビを好きなだけつけてるし、おやつも体重を気にしながらではあるけど、しっかり食べてる。


夫の方もだんだんと毎日飲むようになっていった。

だけど、その後また健康のために飲む日を決めて自制するようになり、自分だけいい子になっている。


というわけで、次は私が結婚後に増えた体重をどうにかしないと。。。

(おやつを控え、テレビを消して体を動かす!)

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