開かずの間。
二泊三日お邪魔してる間に、不動産屋さんにアポしていくつか物件を見た。
でも、すぐには決められなかった、というか、決め手にかける物件ばかりだった。
というわけで、二週間後くらいにもう一度、行くことに。
「自分は、いま住んでるところを見てもわかると思うけど、平日はもちろん、休日も出張やら何やらでいないことが多いから、住まいにこだわりがない。
だから、自分よりは家にいる時間が多いだろうみさえさんが自分で見て決めるのがいい」
夫はそう言った。
確かに、夫にこだわりがないことは一目瞭然だった。
物件自体もそうだし、家の中を快適に整えようという意欲もまったくないようで、そこに住んでいた3年間で掃除をしたのは今回が初めて、と言っていた。
それも、トイレとお風呂だけだったみたい。
部屋の床は、夫がふだん通るルート以外には、カーペットが敷いてあるのかと思うくらいホコリが積もっていて、家具などの上は言わずもがな。
台所も油の塊がこびりついていた。
あまりにひどいと思ったので、私がいる間にできる範囲で掃除をしておいたら、仕事から帰ってきて驚いていた。
本人は、それまでの状態に慣れてて、ひどいと思ってなかったらしい。
さておき、新居探しリベンジが決行された。
二回めの物件めぐりで、一番マシかなと思ったものに決めた。
3月前後は一番物件が出る時期で、先延ばししたらもっとよいものが出てくるとも思えなかったから。
私は間取りの図面をもらって、帰ってから自分の家具と夫の家具の配置を考えた。
すごく楽しかったけど、面倒でもあった。
どっちの家具を優先するかとか、はたして夫の持ち物が入り切るのかどうかとか、判断に困ることが多すぎて。
夫の家には開かずの間みたいな部屋があって、戸は開くのだけど、ダンボールに入ったままの荷物(主に本)がいくつも積み上がって置いてあって、入れないし奥の方も見えないほどだったので、何がどれくらいあるか皆目見当もつかなかった。たぶん、本人にも。
それらの本は、今現在に至っても、買い足した本棚からさえも溢れ出して、ずーっと困っている。
というわけで、結婚してから今まで、部屋が完璧に片付いた、という状態になったことは一度もない。
そういうのは、ラブラブだからって解決するわけじゃない、ってことがよくわかった。
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