夫からの返事。
この物語風の記録を書くにあたり、古いパソコンのメールを見てみた。
夫と私の間で送り合ったメールは特別なフォルダに選り分けてある。
私たちのメールの行ったり来たりのやり取りをひと目で確認できるように、自分の送ったメールもそのフォルダに移動してたのだ。
そこには今でも未読のマークが25個。
まったくバカみたいなのだけど、私が送ったメールのうち、返事がもらえなかったものに印を付けていたのだ。
このマークの数が増えるごとに、私はさびしさと不安を募らせていったということだ。
5月の突然の食事デートのあと、8月の花火デートまで、ずいぶん長い期間を持ちこたえたもんだなぁと思っていたのだけど、古いメールを見てみたら、実はその間に2回会うチャンスがあったことがわかった。
まったく忘れていた。
でも、6月の週末デートは夫の仕事でキャンセル。
7月の初めの方で、また仕事でこちらに来るというやり取りがあった。
それが途中で途切れている。
ということは、実際に会えることになって携帯でのやり取りに切り替えたのかもしれない。
それにしても、どういう店に行って何を食べたのか、どんな感じだったのか、まったく思い出せない。
やっぱり会えなかったのか??
そのほか、「そちらに行くけど、今回は用事が立て込んで会えない」と最初から書いてあるメールも一つあった。
なぜこんなことをいま記録すべく書いてるかと言うと、あらためてこうしてやり取りを見てみると、結婚に至るまでの期間が意外と程よく埋められているなぁと驚いたから。
それなのに、当時はどうしてあんなに心許なくさびしくて、どうしてあんなに確信が持てずにヤキモキヤキモキしてたんだろう。
すべては「つき合っている」「好意を持っている」「結婚を前提に」などのわかりやすい言葉や態度を、彼はまったく出してきてなかったし、それによって私も出せずにいたからなんだろう。
確信がないあまり、訊くのも怖かったから。
さて、花火デートの話の続き。
どのタイミングだったか、旅行代理店から連絡が来て、ホテルが取れた。
それを私は当面、内緒にしておくことにした。
もし、「泊まるところがないけど行く」と言ったら、夫がどういう返事をするのかを見たかった。
自分の家に泊まらせてくれるという選択肢も、出してくれるかどうか。
私は賭けに出たのだ。
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