次の約束への闘い。
長かった。
よく持ちこたえたと思う。
この尻すぼみな感じで終わった飲みデートのあとから次の約束まで、
本当によくがんばりました、と自分を褒めたい。
実は、約束自体は、飲みデートの前からしていた。
夫の住む町で開かれる恒例の花火大会。
こんなチャンスを使わない手はない!
日程などを早めにキャッチしていた私は、早々に夫の都合をメールで訊いていた。
「特に、その日は用事はない」
「昼間、早めにそちらへ行ったら、花火の前にどこかに遊びに行くとかできますか?」
「昼間も特に用事はない」
こんな感じで、花火デートの約束を3カ月前から取り付けてはいた。
花火観覧に、有料席の売り出しもあった。
席を確保しておけば、早くから花火会場で場所取りをしなくてもいい。
私たちは、売り出しの日にそれぞれでチケ取りに挑むことにしていた。
いや、こんなふうに書くと順調におつきあいしている二人みたいだけど、
5月の飲みデート後の感触は、その約束が「なかったことに」なってもおかしくない? と思えてしまうほど、心細い感じだったのだ。
絶対にこの糸を切らさない。
強い決意のもと、私はチケ取りやら、自分の交通手段や宿の確保やら、メールでの業務連絡を命綱にして「既成事実」の積み上げに躍起になっていた。
チケット争奪戦なんかでは、たいてい敗戦する私なのだけど、
電話でチケットも取れた(夫はつながらなかった、と)。
惚れた側の恋愛戦士は強運!?
いやいや、たぶん、他エリアからの市外通話だったので、電話がつながりやすかっただけだろうけど。
困ったのは、泊まるところ。
JRは1カ月前にならないと指定席などを取ったりできないので、まだこれからだったけど、宿は気づいた時にはもういっぱいだった。
夏の行楽シーズンなので当たり前。そこは私の出足が遅かったのだ。
夫がアドバイスで、旅行代理店にキャンセル待ちを頼んでおいたらどうか、と。
ありがたいアドバイスではあったけど、私はちょっとさびしかった。
本当は、「最悪、うちに泊まっていい」と言ってほしかった。
つき合ってるかどうかもわからないスタンスで、しかも奥手な夫がそんなこと言うなんて120%ないとわかっているけど。
いや、そう納得してしまうようなはっきりしない関係がもどかしくも寂しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます