初めて、いっしょに飲んだ。
記念すべき、野球初観戦の帰り。
いっしょにごはんを食べて帰ろうということになって、
胸の中のハートがはち切れんばかりに膨らんだ私。
駅までの人の波があまりに長くぎっしりと続いているため、
夫が、近くのバス停から路線バスに乗って、
適当な繁華街で降りようと言った。
もう、私は何でもよかった、地の果てだってついて行ってただろう。
あとでわかったのだけど、夫は人混みが大キライ。
行列に並ぶのも大キライ。
だから、駅までのあの人の波が、さぞイヤだったのだろうと思う。
それから、この日、たまたま私たちが訪れた記念すべき初飲みの居酒屋は、
その後、全国ニュースにもなった大事故で吹き飛んで、今はない。
あてもなく飛び込みで入ったのだけど、なかなか美味しい店だった。
週末ということもあって賑わっており、私たちはカウンターに座った。
そこで、夫がじゃがいもが好きだとか、お酒が大好きで強いとか、
そんなことを知っては、ホクホクしていた。
心臓はずっとドキドキ、横隔膜は上がりっ放し。
一方で、これで終わらないために、次につなげるために、どうしようと、
考え続けて落ち着かない気持ちでもあった。
一カ月後はゴールデンウイーク。
勇気を出して、言ってみた。
「ゴールデンウイークに、遊びに行っていいですか?」って。
「いいですよ」。即答だった。
また、飛び上がるくらいうれしかった。
今日はここでお開き、最寄りの駅から別々に帰ることになるけど、
一カ月後にはまた会えるんだ!
その約束に向かって、生きていける!!
まさに、約束は命綱だった。
GWは後半より前半の方が都合がいいというので、往復の切符を予約して、
何とかメールのやり取りをしながら、つながりを保つ努力を続けた。
夫はもともとおしゃべりでもないし、用事のないメールはしない。
ましてや、私たちつき合ってるの!? というのがわからない状態。
もう、初期の自己紹介的なやり取りは済んでるような段階だったから、
話題(メールするための大義名分)とタイミングを計るのはなかなか難しかった。
返事はすぐに来なくても当たり前(私の方は即レスという、痛い状態)。
落ち込まない、ヤキモキしない。
そう言い聞かせて、私はがんばった。
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