第33話

陽太郎は、ニコニコと笑顔を見せている。

「そうか、良かったな」

見上げると、黒いヒゲのサンタクロースがいる。

「私も驚いたよ」

こういった。

陽太郎は、

(何に驚いたのかな!)

聞こうと思ったが、

「さあ、もう一人だね。あの女の子だったね」

黒いヒゲのサンタから、大きなプレゼントを渡された。

ソリは、再び空を飛んだ。

「どうした?」

「うん、なぜだか分からないけど、胸がドキドキするんだ」

(どうしたんだろう?〉

ピックルが、じっと見つめて来る。やはり心配しているのかも知れない。

「大丈夫だよ」

陽太郎はピックルを優しく抱きしめた。

着くと、

「よし、行っておいで。まだ、起きていると思うよ。おっと、待って。これを持って行くといい。きっと役に立つよ」

渡されたのは、マゼンタ色のペンだった。

「えっ!」

黒いヒゲのサンタは笑っている。

「ピッピッ」

陽太郎にもいつの間にか聞き慣れた鳥の鳴き声になった。時々囁くように鳴いている鳥だ。何を言おうとしているのか分からない。でも、励まされている気分だ。

「あの・・・」

と言おうとした。

「何だい?」

ピックルは黒いヒゲのサンタの肩に飛び移った。ピックルは・・・と聞こうとしたが、今は、早く照美ちゃんに会いたかった。

すると、ピックルはまた何処かへ飛んで行った。

陽太郎の目は、鳥の飛んでいく後を追った。

「何でもないよ。じゃ、行って来るから」

「あぁ、行っておいで」

陽太郎は輝美へのプレゼントをもって、家の中に入って行った。二三度、家の中に招待されたことがあった。

照美の部屋の明かりは点いていた。

「あっ」

陽太郎は驚いた。

何処からか鳥が飛んできて、窓のガラスを羽で、バタバタし始めたのである。

《ピックル》

だった。

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