第4話推測

天舞音は今日あった事を思い返しながら、一つ気になる事を思い出した。


「そう言えば、倒れる前に目があった気がする」

「本当か?それで誰?」

「……目があったのは覚えているけど、誰かは覚えてない」

「目があったのは覚えていて、なんで顔は見てないんだよ!」

「私、人の顔を覚えるが苦手なの」

「……そうですか。でも、男か女かぐらいは分かるだろ?」

「確か、制服にリボンをつけていたから、女でしょ」


能力開発学校の制服は男はネクタイ、女はリボンをつけるのが義務となっており、リボンを付けている事から天舞音は目があった者が女だと推測した。


「……俺が肩がぶつかったのも女だったと思うけど」

「……クラスの女に絞って、犯人を見つけるわよ」

「簡単に言っているが、難しいぞ。他の組とは違って、0組は無能力者や能力が安定していない者だけが居るクラスだ。女性は七人と言っても、能力に目覚めたのが誰かを特定するのは難しいだろ?」

「……七人では無く、六人でしょ。ここに私が居るのだから」

「確かにそうだけど、その六人から一人を見つめるのは難しいと思うけど」

「……それが出来なければ、私達は教室はあられもない姿を晒した変態として、今日から有名人になれるわ。それを回避するには犯人を見つけだし、私達は犯人によって、無理矢理教室で発狂した事になる」

「……発狂なんてしたっけ?」

「……そうしといたそうが良いでしょ?」


(確かに、性感覚を刺激されたのは俺達にしか分からないし、発狂と言う形にした方が良いな)


叶多は天舞音のその考えに共感するように頷く。

そんな叶多の頷きを確認すると、天舞音はベッドから起き上がり叶多の正面に立ち尽くす。


「私達の目的は今日中に犯人を見つめる事……良い?」

「良いって言われても……今日中は無理だろ?」

「どうして?」

「どうしてって、そんな簡単に犯人に特定が出来るとは思えない!」

「簡単に見つけられると思うけど」

「どうやって?」

「たった、六人の中から特定の能力者を見つけるだけよ。その六人が全員同じ能力を持っていたら、難しいけど、0組に居る六人の女達は能力が目覚めていない六人よ。だったら、私達を発狂させた犯人は能力に目覚めたばかりの女になるでしょ」

「それはそうだけど、その六人からどうやって能力者を特定するつもりだ?」

「無能力者と能力者の違いを見つければ、それで良い」

「違いって……何?」

「無能力者に出来なくて、能力者なら出来る事は?」

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有栖川天舞音の学生生活(ハイスクール) 斑鳩 @ikaruga4

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