第5話〜奴隷を買ってしまいました〜

「じゃあ銅貨3枚でどうだ?これ以上はまけられねぇよ。」

「じゃあ左の小ぶりなのも買うから、合わせて銅貨6枚で買うから、解体してくんない?」

「あんちゃん、10歳くらいなのに値切りがうめぇな。よっしゃそれで売ってやるよ!ちょっと解体に時間がかかるから、一時間くらいしたらまた来てくんな。」


今、僕はユマの姿で、魚市場を訪れていた。

本来だったら魚は切り身を買って終わりにしようと思ってたんだけど、予想外の収入が出てしまったから新鮮なマグロのような魚を丸々2匹買うことにした。

思った以上に魚が安くてびっくりだけど嬉しい誤算だし、他にも色々と買っとこ。

それから僕は魚市場を一周し、魚を大量に購入した。

そんなに買って大丈夫?って心配になりそうだけど、

僕にはアイテムボックスがあるから、入れてさえいれば、いつでも新鮮な魚が食べられるんだよね。


次は野菜を購入しに行く。なるべく多く購入しないとな。肉と魚の量に対して、野菜が少ないと体に悪くないし。

『マスター、状態回復で、』

いや、分かってるよ。だけど、気持ち的にやっぱりなんか、野菜は食べないとダメだと思うんだ。

『まぁ、そこは任せますが。』

僕は野菜売り場へと向かう。野菜売り場はここからは少し離れていて、一度街道に出る必要がある。

「おい、やってるぞ。行こうぜ。」

「あぁ、今日の売りもんはすげー美少女らしいからな!」

街道に出ると、そんな男たちの気になる声が聞こえる。

売り物で、人間ってまさか。

男たちの向かった方向に目を向けると、そこには人だかりができていた。

あれなんだろうな・・・。

普段の僕だったら、想像がついたとしても、見に行かない。だけど、時間にも余裕があることを確認したため、僕は暇つぶしのつもりで、ホワイトの姿になって、その人だかりに入った。

「ナンバーをお持ちになってご参加ください。

「うむ。」

「さぁ、次は今日の目玉!犯罪奴隷ではあるが、ある没落した公爵家のご令嬢だ!犯罪奴隷だから、まずは銀貨5枚から!」

「銀貨8枚!」「銀貨10枚!」「銀貨20枚!!」

はぁ、何が楽しくてこんなせりを見ればいいんだかね。

『ですがマスターは暇つぶしのつもりでこれを見てるので、それを言う資格は無いかと。』

そうだね。でも、失敗だったよ。どいつもこいつも、ここにいるのは人間の皮をかぶった豚ばっかだ。

まったく反吐が出る。

それに、明らかにあの女の子犯罪を犯すような子じゃないでしょ。

『マスター。あの子供はミディ・ラントマイフ。この国とは違う国の公爵家令嬢です。あの奴隷商の言っている事は、正しいかと。

ラントマイフ家の当主は、今から数ヶ月前にその国で謀反を起こし、家族共々あの子以外見せしめで殺されています。』

それで、犯罪奴隷ね。でも、なんであの子だけ生かされたんだろう?

『公爵でも国王に逆らうと、奴隷行きにもなる。

他の貴族たちへの牽制にするためにあの子は奴隷になったのだと思われます。貴族はそのようなプライドがありますから。』

死ぬより、奴隷になる方が辛いってそれ何?


「金貨1枚!!!」

その時、声高らかに、その言葉が響く。

僕も合わせてその声の先に、注目する。

そこには、趣味の悪い服装のでっぷり太った男がいた。

「おっと!ここで241番の声で、金貨に突入だ!

さぁ、他に上げる者はいないか!?」


さっきまで豚たちがうるさく喚いていた街道が一気に静まる。

そりゃそうだ。犯罪奴隷の場合、普通の奴隷とは違って危険性も考慮されて、普通は銀貨などで取り引きされる。そんな存在に金貨を出すのは相当懐に持って無いと難しいだろう。

僕はこの時の241番の姿を見て、少しだけ心がチクッとする。

「んひひ〜。出なくていいね。女はみんな、ボクちゃんの道具ね。今日はあの幼女で遊ぶね。ブヒョヒョ」

「ヒッ!」

「ッ!」

『マスター?』

いや、なんでもない。このお金は僕と家族の物だ。

あの子に出す必要なんて一切ない。

そもそもあの子の親の責任なんだ。あの子がこれからどうなろうと僕は知ったこっちゃない。

『・・・マスター。自分に素直になった方がよろしいのでは?元々このお金は受け取るとは思っていなかった物でしょう。』


「ブフォフォ!いい声で鳴くね!今日の夜は楽しみね〜。」

「だ、だれか・・・。」

その時女の子と目が合う。その瞳はまるでいつかの妹のようで。

『マスター!』

「さぁ、出る者はいないか!?金貨一枚で落札か!?」


あぁもう!


「金貨3枚。」

「おおっと!?369番が参戦だ!盛り上がってきたぞー!!さぁ金貨3枚!だれか出るものはいないか!?」

「金貨4枚ね!」

「金貨10枚。」

「ぬぬぬぬぬ。」

「これは勝負があったか!?金貨10枚だ!

さぁ!この波に参加する勇者はいないか!!?」

「き、金貨、13枚。」

「金貨20枚。」

「な、なぬ!お、おまえ、今すぐ取り消すのだ!この幼女はボクちゃんの物だ。後悔するのぞ!」

「いいや、彼女は俺がいただく。それに、俺は今非常にイライラしている。サンドバッグをタダで貸してくれるなら大歓迎だ?」

「ヒッヒィィ!」

僕は大豚に殺気をぶつける。他の人にバレないようにこっそりと。

そして、僕が大出血したせりは、これで幕を閉じた。


「あ、あの。これからよろしくお願いします。」

「はぁ・・・。」

ミディが僕に向けて挨拶をしたことで、買ったことへの後悔が浮かんで自然とため息を漏らす。

ここは、せりがあった場所の最も近くの飲食店。

僕はミディを連れて、この飲食店の席に座っていた。

「とりあえず座れ。何か欲しい物はあるか?」

「あ、あの。わたくしは貴方様の奴隷です。私には、気を使わずにいてくれて結構です。」

「問題ない。金には困っていない。それに、空腹で倒れられると面倒だ。」

「し、しかし。」

「早く座れ。そして、料理を注文しろ。」

「は、はい。・・・・・・では、この[海の幸と新鮮野菜の和えもの]を。」

以外とベジタリアンだな。そして、意外と美味しそうなネーミング。僕もそれにしようかな。

「おい!そこの者、注文を頼む。」

「はいはーい。ご注文ですね。何にしましょう?」

「この、[海の幸と新鮮野菜の和えもの]を2つ頼む。」

「分かりましたー。注文入りまーす。」

さて、待ってる間に言わなければならないだろう。

「お前はなんという。」

「わ、私はミディ・ラン・・・いえ、ただのミディです。貴方様のお名前は。」

「俺はホワイト。冒険者だ。

それと悪いがミディ。買っておいて何だが、今から君の奴隷紋を解く。君とはこの食事のあとお別れだ。」

「え?な、なぜですか。私にご不満が有るのであればなんでも・・・。」

「不満の話では無い。君を買ったのは気まぐれだ。この後は自分で生きていけ。金は1ヶ月分の生活費はだす。」

そう。僕はミディを養護するつもりも、育てるつもりも一切ない。僕がこの子を買ったのは本当に気まぐれ。僕は懐から銀貨数枚を手に取り、その場に置く。

「なぜですか。気まぐれ程度であんなお金を出すとは思えません。なぜ私を助けたのですか。」

「・・・妹に似てたからだ。」

「妹。」

「俺には二人の妹がいる。君と目があった時の君の目が、いつしかの妹の目に面影を感じた。」


あれは数年前。僕らが家でかくれんぼをしてた時だ。

その日は僕が鬼で、マリアルたちを探していた。

コハルは直ぐに台所の下の食器入れにいたから見つかったけど、マリアルがいくら探しても見つからない。

もしかしたら外にいるかもと探していた時、どこからか悲鳴が聞こえた。

僕は、その声がマリアルの声だと気づいて急いで向かうと、マリアルがスライムに襲われていた。

たとえゴブリンと対をなす最弱の魔物でも、子供にとっては十分脅威で、マリアルの服や体には傷が何ヶ所かできていた。

ミディが僕と目が合った時の表情は、マリアルが駆けつけた僕に気づいた時の表情に似ていて。

それが原因で、僕はつい妹が豚に害されるのが頭に浮かんだため、暴走してしまった。


「だから、俺が助けるのはここまで。あとは自分で生きていけ。【状態回復】」


そう言い終えると、彼女の首に刻まれていた奴隷紋が消え、タイミングが良く、料理が運ばれてくる。

「はいはーい、[海の幸と新鮮野菜の和えもの]2つおまち!」

「ありがとう。」

うわ、普通に美味しそう。

僕は食べようとした所で、ミディを見る。

ミディは食事が喉を通らないのか、出されても手をつけない。

それを見ながら少し、食事の後にした方が良かったかなと後悔したが、僕は料理を食べ始めた。


無言の食事が続き、結局僕が食べ終えても、食事にミディは手をつけなかった。

「誰の金で注文してると思っている?早く食べろ。俺はもう行く。精々長生きするように頑張ることだ。その金で冒険者になることもできるし、飢え死ぬことは無いと思うが。」

「あの、ホワイト様。」

「なんだ?」

「私は本当にこのままホワイト様から離れて、自由にして、よろしいのでしょうか。」

「ああ。そう言っている。」

「それはでしょうか?」

「命令では・・・いや、命令だ。ミディ、お前の好きなように生きろ。主人からの最初で最後の命令だ。」

「・・・分かりました。。」

そう言って、ミディは食べ始めた。それもガツガツと食べっぷりがいいほどに。

僕はそれを見たあと店から出た。

「多分、あの子凄く強くなるだろうね。」

『はい。素質は凄いですから。それに、マスターやらかしましたね。』

ん?何がやらかしたの?もしかして金のこと?

『いえ、まだ知らなくていいかと。』

ナビが言ってるから少し不気味だけど、まぁいいや。


ーー次の日ーー


今日もやって来ましたラットプント王国!

でも今僕は今かなり昨日の自分を、殴りたいって思ってるんだ!何故かって?


「これからよろしくお願いしますね!ホワイトさん!」


僕はミディとパーティーを結成した。というか、させられたからだ・・・。


「だって、ホワイトさん言ったじゃないですか。自分の好きなように生きろって。だからこうして好きなようにしてるんじゃないですか?」


そう言う意味じゃなーーーーい!!!


本日のステータス(最新された場合書きます。)

ミディ Lv6

ステータス


体力360

攻撃60

防御18

素早さ90

知能130

魔力300

魔防240

気力12

幸運B

才能S

成長スキルポイント3Lv×1獲得

スキルポイント32(三分の一成長比例)


スキル

【純血】スキルポイントへの影響特大

初期時スキルポイント30獲得

マジックスキル


オートスキル

【天邪鬼】スキルポイントが中々消費されない。

称号

【公爵家令嬢】才能への影響小

恩恵

【???】



ユマ・サテラ Lv32

ステータス


体力3840

攻撃165

防御165

素早さ325

知能80

魔力340

魔防330

気力330

幸運S

才能C

成長スキルポイントLv×1獲得

スキルポイント106→86(成長比例)


スキル

【鑑定】人や物のステータスや能力を測ることが、できる。


【アイテムボックス】異次元空間に対象物を閉じ込める。生命体は不可能。中は時が止まる。


【洗浄】クリーニングと唱えれば発動。対象の汚れなどを取り除く。


【建築技術】建築に関する知識を得ることができる。


【物品生成】物を実用的なものへ変える。

例)大木→木材


【アイテムメイク】魔石を必要とするアイテムを作ることができる。使用者本人の想像に依存。


マジックスキル

【浮遊魔法】人や物を浮遊させられる。Lvに比例する。(Lv×100Kg)


【幻覚魔法】

初級魔法イリュージョン

相手に幻覚を見せる。幻覚は自身が見せたいものにできる。対象以外に見せないことも可能。

中級魔法ビジョン

イリュージョンと違い、幻を使った攻撃が可能。

本来触れようとしても触れない。

上級魔法リアルビジョン

ビジョンの上位互換。

触れられる。

大魔法ノーシールド

透明な盾を出現させ、一定時間自身を守る。味方にかけることも可能。

神域魔法□□□□□□□□□□□□

世界に幻覚をかけ、時を止めるなどのことが可能。


【空間魔法】

上級魔法ワープ

一定の範囲を瞬間移動することができる。

ただし、一度行ったことがある場所が限定。

大魔法ディメンジョン

伸縮自在の異次元を生み出す。部屋にもすることができ、生き物が入ることが可能。

攻撃にも様々なやり方で使える。

神域魔法異世界転移

異世界へ行くことができる。神の世界へ移動も可能。

(魔力が足りず、ユマはまだ使えない。)

オートスキル

【死神】体力が0になった時発動。

体力を1にし、自信の体力を0にした相手の体力を0にする。使い次第死神は消滅する。


【状態回復】自身の以上や相手の以上を治す。


【魂食い】敵を倒すと自身を、敵と戦う前の状態に戻す。ステータスは戻らない。


【前世の記憶】前世の記憶を持つ。


称号

【神の寵愛】幸運が上昇する。


恩恵

【ナビゲート】詳しくは本人に聞きましょう。

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