第4話〜冒険者ホワイト〜

あれから1ヶ月。

僕らはこの湖での生活に慣れてきた頃、僕はある悩みを抱えていた。最近思い始めて来たことである。

「飽きたね。」

『何がでしょうか。ここの湖の景色は正直飽きませんし、妹様方のために、おままごとセットから始まって、ご自分用にも、P〇や、D〇とかを作っていたではありませんか。

妹様方も喜んでいましたよ?』

「違うんだよ。僕は飽きてしまったんだ。」

『あの、私には理解しかねます。マスターが飽きるというものがなんなのか。』

そうか。

まぁナビは分からなくても仕方ないね。

『私に何かありますか?(怒)』

「い、いや。・・・ってもう、感情隠す気ないじゃん!」

『いえ、私はあくまで恩恵から生まれた物、生物ではありませんね。そうでしたね。』


「うっ。ごめんって。ナビ。」


それから僕はナビを慰めるのに数時間かかった。

意外と気にしてたんだな。これからは言わないことにしよう。

さて、原点回帰だ。


『それで、何が飽きてしまわれたのでしょうか。』

「うん。まぁこればかりはねぇ。食事だよ。」

『・・・。』

「毎日さ・・・、ねぇ。狼とか、猪の肉ばっかだとさ。

体に悪いしさ。」

『状態回復があるのでマスターと、妹様は健康ですよ?』

うん。そうなんだけどね、気持ち的にね。

『どうせ私にはわか』

「ごめん、ごめんって!?」


ナビって結構粘着気質なのかな。


「と、とにかく。僕はこれから王国に行って、当初の予定通り、冒険者になる!」

『はぁ。そうですか。ですが、それは賛成です。

マスターも強くなりましたし、王国まで一瞬ですしね。』


そうなのだ。僕はこの1ヶ月の間、【空間魔法】っていうものをひたすら極めていた。

なんと、このマジックスキル、購入する時ポイントが50も取られたんだ。

でも、それでもこのスキルは取っておくべきだった。

空間魔法の能力にこんなものがあるから。


上級魔法ワープ

一定の範囲を瞬間移動することができる。

ただし、一度行ったことがある場所が限定


という訳で、僕は一度ラットプント王国にいくらか前に一度行った。

Lvもかなり上がってたし行くのに往復一日くらいしかかからなかった。

王国まで一日って言うのはナビに聞いたが、A級冒険者並の速さらしい。


そして、僕が王国に行って冒険者になる理由が、今回の悩みである食材の調達。そして、金稼ぎだ。


お金は僕の家には実はない。


商人をやっていた父と母だが、財産は全部アイテム袋に入れていて、魔物に襲われて亡くなった時に、その中のお金は全て、魔物を討伐した冒険者の物になったからだ。


この国では、死体を発見した時その死体を持ち帰ってくる変わりに、その死体が持っていた荷物を受け取ることができる。

これを行う理由は死体がアンデッドになるのを防ぐためだ。


なので、アイテム袋は冒険者の人が受け取る形になった。

まぁ恨みはないよ。父と母の亡骸を持ってきてくれたんだから。


ということで、僕は無一文。お金は一切ない。

だから、冒険者になってお金を稼いで食材を購入しようって訳なのだ。


『マスター。ですが、冒険者は気性が荒いので、ほぼ確実にマスターは絡まれますよ?』

「まぁそこは、倒せばいいんじゃないかな。」

『それはそうですが。

全く、マスターは身内には優しいですが、他人には凄いですね。』

「そりゃそうだよ。なんで、血の繋がっていない人に優しくする必要があるのさ。僕は妹さえ元気であればいいの!」

『このシスコンは、、はぁ。ですが、良いのですか。マスターが王国へ行った時、妹様方が心配されて、滝のように泣いてたではないですか。状態回復が無ければ危なかったですよ?』

「そこは大丈夫。王国に行ったとしても、3、4時間したら帰るつもりだし。もう、妹を泣かせたくないしね。」

ほんとうに、心が潰れるところだったよ、はは。



ーー1週間前ーー

「ただいむぁ!!?」

「お゛に゛ぃ゛ぢゃんどごいっでだの!!ジンバイじだんだよ!!!」

「あ゛ぁ゛ーーー!!!」



という訳です。4行で終わったね。うん。

妹の号泣でショック死する所だったよ。


はぁ。

作っておいたご飯はしっかり食べてたから良かったけど。


『まぁあれはマスターが悪いですよ。7歳の女の子二人を家に一日中ほったらかしだったんですから。』

「二度としません。」

『はい。』

僕はマリアルたちが外で元気いっぱいに遊んでいるのを見た。

「僕は二人のたった一人の兄なんだ。あの二人に何かあったら父さんと母さんに怒られちゃう。

ナビ、僕は今、しっかり“お兄ちゃん”をやれてるかな?」

『ええ。しっかりやれてると思いますよ。それこそやりすぎて中毒者みたいに。』

はは、中毒者か。まぁ、二人を守ることができるなら、中毒者でもいいのかな?

「そろそろ行こうか。ナビ。」

『はい。』

そして僕は、ワープで王国に転移した。


ーー僕が転移したとき、二人がこちらを見て笑顔になっていたのはきっと僕の見間違いなのかも。




side国王クルホォル・ザルバ・ラットプント

儂はラットプント王国の国王であるクルホォル・ザルバ・ラットプント。

長ったらしい名前を持つ、50過ぎたジジイじゃ。

この国は、昔から大海と、広大な大地に囲まれ、自然が溢れる豊かな国であり、治安もよく、国の警備と騎士団は他の国にも負けないほど機能している。

それは結果にも現れ、この国は世界で四大国と数えられるほど、栄えている。

そんな国に、この度恐らくラットプント王国始まって史上最大の危機が訪れていた。


「王よ。前線で守護していた第一皇子が帝国に囚われました!」

「ぬぬぬ、帝国めぇ!」


そう、儂らの国は今、帝国と戦争をしている真っ最中じゃった。

今の状況は儂らが圧倒的に不利。

今まで、この国は他国と戦争をしたことは何度もあったが、それは数十年前まで。

いくら、国として上手く機能していても、世代交代もあり、今の騎士団は本当の戦い、戦争の経験が無かった。


「第二王子を呼ぶのじゃ。前線は潰されたが、ここから先は儂らの庭。ならば、ここからの戦況は我らの方が有利!第二王子なら、儂にも思いつかない策を思いついてくれるじゃろう。」


「はっ!では、そのように伝え、第二王子様を連れてまいります。」


そう言って兵は儂の前からいなくなる。

「有利とは言ったが、明らかに軍事力に差があり過ぎる。儂の国もここまでか。」

そう半場諦めていた時、扉が開かれる。

「なんじゃ?もう、連れてきたのか。第二王子、話は聞いておるじゃろう。

今すぐ、騎士団を連れ帝国を・・・な!?貴様は誰じゃ!!?」




sideユマ

草原に転移する。ここは、ラットプント王国の門の前にある草原。

広々とした広大な大地は、自然の凄みを感じさせられる。

「周りに人はなし!よし、着替えるか!」




今僕は冒険者ギルドの前にいた。ただ、今の僕の格好は少し目立つ格好をしている。

アイテムメイクで作った鉄装備だ。

色々と仕掛けがあって、今の僕はだいたい170cmくらいには見えると思う。

ちょっとカッコイイマスクも付けているので、謎感が凄い。

『では行きましょうか。』

そうだね。


僕はギルドの扉を開ける。

やっぱりこの姿が目立つのか、カウンターとかにいる冒険者がみんなこっちを見る。

僕は、そんな視線を浴びながら、受付の女の人まで歩を進める。

受付嬢がこちらに気づき、僕の姿を見て一瞬驚くが、他の人とは違ってすぐに、接客モードに入った。


「すまない。冒険者登録ができるのはここか?」

こんな感じでいいかな?いつもの話し方だと子供だってバレちゃうし。

20代の青年くらいの声色に自動で設定されるマスクだから、バレることはまず無いだろうけど。

「はい。冒険者ギルドへようこそ。登録は銀貨一枚です。」

「すまないが、今は金がない。魔物を狩ってきたからそれをまず、換金してほしい。」

「手持ちが無いように見えますが・・・分かりました。冒険者に登録してないので、換金は2割引かれますがよろしいですか?」

「問題ない。」

僕はアイテムボックスを開き、昨日狩ったビッグボアをその場に置いた。

「あ、アイテムボックス持ち。

それにB級討伐魔物のビッグボア。あなたは・・・一体。」

おお、言い返しが来たな。さすが、分かってるじゃないですか。お姉さん。

「俺はホワイト。旅をしている者だ。よろしく頼む。」

「ホワイトさん・・・。いえ、強い冒険者が登録してくれるのは、ギルドとしても嬉しいことです。こちらこそ、よろしいお願いします。」


「おい、ビッグボアだってよ。」

「B級だろ?あんなヒョロそうなやつがか?」

「でも、かっこよさそうじゃない?」

「だが、登録したてでビッグボアか。これは人波ありそうだな。」

「アイツみたいなのが、本物って言うのか。」

「今のうちに話しかけとくか?」


ふふ〜ん。大成功。みんな演技上手すぎだって〜。

え?演技じゃない?うっれし〜な〜。

『マスター、調子乗りすぎです。』

あ、はい。


「えっとこれが冒険者の証のライセンスになります。

ホワイトさんには悪いのですが、最初はランクはF級からになります。くれぐれも無くさないようにだけしてください。再発行には銀貨一枚必要なので。」

へ〜。登録料金と同じなのか。だとすると、ある意味良心的なのかな。

「了解した。」

「それと、登録代を抜いた、ビッグボアの討伐報酬の銀貨52枚になります。」

「マジで。」

「へっ?(え、少なくないよね。合ってるよね!)」

「あ、ああすまない。なんでもない。」

「それと、こちらが魔石分になります。」

「まだ増えるのか・・・。」

「ええっと、ちょっと待ってくださいね。

ーーこの大きさだと普通の個体よりだいぶ大きいはす。ビッグボアの買取はこのくらいだから・・・。」

そう言ってなんか、金ピカな丸い何かを僕に渡した。

「どうぞ、ホワイトさん!魔石の報酬、金貨30枚です!」

「・・・・・・。」

『マスター?』

あのさ、ナビ。ビッグボア高くない?

『適正価格だと思いますが。』

いやだって金貨30枚と銀貨52枚だよ?日本円で言ったら、3052万円・・・って、本当に高すぎるって!?今ので僕、前世の年金10回分もらったの?それにこれって2割引かれてるんでしょ。本当はもっと・・・。

ビッグボアって確か、空間魔法のディメンジョンの練習で、たまたま倒した魔物だよね?

僕のアイテムボックスってこれのキングとかいたよね。やばいじゃん。キングだと、どのくらいになるの、これ。

「あ、あの・・・。」

『マスター・・・。』

はっ!受付の人がすっごく困ってる!

「すまない。用事を思い出したのだ。

悪いが俺は一度今日は帰ることにする。」

「は、はい。」

な、ナビ。ありがとう。

『いえ、それとマスター。

ビッグボアはB級の上位に位置する魔物で、普通では高ランクの冒険者、数人で挑む相手です。もちろん死人も多数出ますので、この価値は正しいです。』

あ、うん。ナビさんの太鼓判貰っちゃったよ。

適正価格でこれか。はは・・・。

『ですが、良かったではないですか。

これは、マスターが強いという動かぬ証拠です。』

そうだね。あらためて僕が相当強くなったのを再認識したよ。


「それでは。・・・また来る。」

そうして僕はギルドから出る。

キャラ作りに。背中にある銀色のマントをなびかせる。

それのおかげか、ギルドから僕が出る時、冒険者の色んな感情の視線を浴びることになる。

『ノリノリですね。』


うん。キャラ作りはバッチリ!

お金もいっぱい貰っちゃったし、妹に美味しいご飯を今日は出せそうだな〜。


気分は上々。僕はスキップがしたくなるほど、この時浮かれていた。

だから、この時の僕は忘れてた。


世の中にはバカがいるということを。


「ちょっと待ちな。兄ちゃん。ちょっと俺たちとお話しようや。」


僕の前、というか全体を囲むようにゴロツキが現れた。


「兄ちゃん、今すげー金持ってるよな?俺らに少し分けてくれや。」


うん。すごくめんどくさい。帰りたいな〜。

ナビ、ここでワープしてもいい?

『明らかに目立つのでやめた方がいいかと。』

ですよね〜。逃げ道は無くなったかな、ある意味。


「おい、兄ちゃん聞いてんのか!いいから俺らに渡せや!!」


そう言ってゴロツキAが、僕の頬を殴ろうとしてくる。よくもまぁ、こんな公共の場でそんなことができるな。

「アイテムオープン、石。」

「グベッ!」

僕はゴロツキの頭上に少し大きめの石を落とす。

その不可視の攻撃で、ゴロツキAは為す術もなく、その場に倒れた。

結構重かったかな。頭から少し出血してる。

「悪いが急いでるんだ。そこを退けてくれないか。」

驚いてくれているので、僕から残りの二人に提案する。これで散ってくれるといいんだけど。

それでも、二人は襲ってきたので、A君と同じ目にあわせた。


『マスター、少し大人気ないかと。』

ナビ。僕は、大人じゃない。子供だよ。

『それでは、子供人気無いということで。』

僕が悪かった。だから、やめて。

それだと僕が子供(妹)に人気がないみたいになっちゃうから!


「やっぱりあいつ、相当強いようだな。」

「あぁ。悪鬼のゴロリンをあんな簡単にのしちまうんだからな。」


ゴロツキAさんゴロリンって名前だったんだ・・・。

ていうか見ていたんなら最初から助けて欲しいものだ。


少し目立ってしまって人混みができそうだったため、早足で王都の市場へ向かった。


この市場で僕の性格に大きく影響を与える人物に出会うとは、この時の僕は予感すらしてなかった。


本日のステータス(最新された場合書きます。)

ユマ・サテラ Lv17→32

ステータス


体力2040→3840

攻撃90→165

防御90→165

素早さ175→325

知能60→80

魔力190→340

魔防180→330

気力180→330

幸運S

才能C

成長スキルポイントLv×1獲得

スキルポイント106→86(成長比例)


スキル

【鑑定】人や物のステータスや能力を測ることが、できる。


【アイテムボックス】異次元空間に対象物を閉じ込める。生命体は不可能。中は時が止まる。


【洗浄】クリーニングと唱えれば発動。対象の汚れなどを取り除く。


【建築技術】建築に関する知識を得ることができる。


【物品生成】物を実用的なものへ変える。

例)大木→木材


【アイテムメイク】魔石を必要とするアイテムを作ることができる。使用者本人の想像に依存。


マジックスキル

【浮遊魔法】人や物を浮遊させられる。Lvに比例する。(Lv×100Kg)


【幻覚魔法】

初級魔法イリュージョン

相手に幻覚を見せる。幻覚は自身が見せたいものにできる。対象以外に見せないことも可能。

中級魔法ビジョン

イリュージョンと違い、幻を使った攻撃が可能。

本来触れようとしても触れない。

上級魔法リアルビジョン

ビジョンの上位互換。

触れられる。

大魔法ノーシールド

透明な盾を出現させ、一定時間自身を守る。味方にかけることも可能。

神域魔法□□□□□□□□□□□□

世界に幻覚をかけ、時を止めるなどのことが可能。


NEW【空間魔法】

上級魔法ワープ

一定の範囲を瞬間移動することができる。

ただし、一度行ったことがある場所が限定。

大魔法ディメンジョン

伸縮自在の異次元を生み出す。部屋にもすることができ、生き物が入ることが可能。

攻撃にも様々なやり方で使える。

神域魔法異世界転移

異世界へ行くことができる。神の世界へ移動も可能。

(魔力が足りず、ユマはまだ使えない。)

オートスキル

【死神】体力が0になった時発動。

体力を1にし、自信の体力を0にした相手の体力を0にする。使い次第死神は消滅する。


【状態回復】自身の以上や相手の以上を治す。


【魂食い】敵を倒すと自身を、敵と戦う前の状態に戻す。ステータスは戻らない。


【前世の記憶】前世の記憶を持つ。


称号

【神の寵愛】幸運が上昇する。


恩恵

【ナビゲート】詳しくは本人に聞きましょう。


この世界のお金の価値

銭貨一枚→100円

銅貨一枚→1000円

大銅貨一枚→5000円

銀貨一枚→10000円

金貨一枚→100万円

白金貨一枚→1億円

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