第12アルナロック試練のダンジョン最終階層(この世界の秘密)
俺達は屋敷でゆっくり休息した
今日は朝からご飯、御汁、焼き鮭の鉄板朝ごはんだ
その後、屋敷の中で服を見つけた
何故か、高校生の学生服がたくさんあった
普通の可愛い服もあったが、西野が爆笑するので諦めた
落ち着いてきた。久しぶりだ。こんなにリラックスしたのは
「なあ、ここは最下層かな?」
「最下層かマイルストーンかどちらかだろう」
「そうだよね
ねえ、そろそろ行ってみないか?」
俺は切り出した
この屋敷の書斎には魔法陣があった。多分、ゴールもしくは新たな階層への入口だ
「ああ、だいぶ休めたもんな。そろそろ行くか」
「うん」
俺達は2人で魔法陣に入った
魔法陣に光が宿る、しかし、これ迄とは違う事が起きた
俺達の前に1人の男性が立っていた。歳は50代位か?
ローブをまとっている。なんとなく、この屋敷の主人だろうと思った
彼は喋り初めた
『先ずはおめでとう。私の試練を良く乗り越えた
私は勇者長野蓮だ』
「に、日本人!」
彼は黒い目、黒い髪、たしかに日本人だ
『多分、今、君たちはたくさんの質問を私にしようとしている。
だが、それは噛み合わない
私は既にこの世には存在しない
これはアカシックレコードに記録した、ただの記録だ
私は一方的に話す事しか出来無い
だから、私の話しを黙って聞いて欲しい
私は君たちに5つの事を伝えたい
<1つ目だ>
私はアルナロック歴388年に魔王を滅ぼした救世主だ。
だが、私は勇者のスキルは持たない。
私達の勇者はこの世界に来て直ぐに死んだ
私達は絶望の中、人類の為に戦った
最後に残ったのは30人中5人だけだった
だが、私達は魔王に挑み、勝った
1人、尊い犠牲は出たが、私達は勝利し、人類は救われた。
私達の身につけた叡智は魔王を圧倒した
しかし、この力は人間に渡す事は出来無かった
この力はあまりにも強い
もし、この力を人間の当たり前の力としてしまうと
人間は魔王だけで無く魔族全てを滅ぼすだろう
それは私達の望むところでは無い
<2つ目だ>
魔族は決して悪鬼では無い
人間より魔法にたけ、長寿の良い奴も悪い奴もいる
人間と何も変わるところは無い。異なるが分かり合える相手だ。
この世界の宗教アリシア教は魔族を許し難い悪としているが、
実際にはむしろ人類の方が悪い
長い紛争も人間からしかけたものだ
アルナロックの最南端ユグドラシル、アリシア教の聖地
人類はこの愚かな宗教の為、元々魔族の土地ユグドラシルを奪った
そして、数々の蛮行を行った
ユグドラシルの魔族の女や子供は凌辱され、無惨に殺された
男は惨たらしく殺された
人間に言い訳の余地は無い。私達の力を受け継ぐ者は知って欲しい
真実を、そして私達に成し遂げられなかった、
人類と魔族の和解を心みて欲しい
私達のこの力は我が親愛なる魔族達に習った
かの魔王は魔族にとっても悪人だった
だから、彼らは私達に力を貸してくれた
私達は人間以外に2人の仲間がいた
彼らは魔族だ。1人、私達の為に命を落とした
彼らは友となり得るのだ
<3つ目だ>
魔法についてだ
魔法について説明する。理解できれば、
今まで以上に魔法の能力を上昇させられる
まずは魔法のメカニズムを説明する
物理現象についてわからない場合、
エルアラメインの試練の塔へ行け、
エルアラメインの魔女が詳しい
魔法は素粒子エーエルと4つの元素エレメントを理解すると
スキルを持っていれば誰でも使える様になる
君達が魔力と思っているのはエーテルを感じる能力の事だ
魔法とは無から何かを引き出す事だ
そして魔法とは術者のイメージを具現化する事だ
イメージを具現化するにはエーテルを使っているのだ、
ほとんどの者が無意識にだが
この世界の大気や大地には火や水の魔法の材料となる元素は
ほとんど無い
しかし、実際は火の魔法を使うと火が出る
火とは燃焼だ。主に酸素が激しく酸化する現象だ
だが、酸素はどこから来るか?
大気中の酸素が燃焼してもたいした燃焼とはならない
せいぜい、小さな火位の物だ
火の魔法を使う時、火のエレメントから大量の酸素が供給される
だから、激しい酸素の燃焼が起こり、フレアアローなどの攻撃魔法になる
そして、火のエレメントから、
必要な元素を供給してもらう為にはエーテルの存在はかかせ無い
エーテルとはエレメントに干渉できる素粒子の事なのだ
また、エーテルは人間の思念に反応する物質だ
スキルとはエーテルでエレメントに干渉できる力の事だ
先ずはエーテルを感じる事だ
ありがちなのは、魔法だからと言って、
正確に呪文を詠唱する事ばかりに気を取られる事だ
呪文は本来、エーテルにイメージを伝え易くする為に作られたものだ
だが、人間は呪文自体に意味があると思ってしまう様だ
呪文はイメージが正確ならなんだっていい
つまり、エーテルに具体的なイメージを伝える事が重要なのだ
君たちがイメージをする事でエーテルが反応しているのだ
エーテルを感じて、直接エーテルにイメージを伝える
エーテルへのイメージは単なるイメージではない
物理現象の内容を伝える事だ
例えば、火の攻撃魔法フレアアロー
エーテルに火のエレメントに酸素の供給を、そして、
目標までに酸素の密度をあげる事を願い、そして酸素の温度をあげる
温度の上昇とは分子の活動を活発にする事だ
最初は射点から、目標に向かって
そうすればエーテルは迷う事なくフレアアローを具現化する
はっきりしないイメージより、具体的な物理現象を伝える事が重要だ
エーテルは使えば使う程イメージを伝え易くなる
つまりシンクロ率が上がる
君達のスキルのレベルとはシンクロ率の事だ
レベルという形でシンクロ率が分かる
<4つ目だ>
剣技もエーテルにより変わる
エーテルは人間の筋肉、神経や臓器にも干渉出来る
そしてエレメントから大量の酸素や酵素、
ミネラルを貰って身体能力を大幅に向上させる事が出来る
それだけでは無い。剣聖などのスキル持ちは
専用の剣をスキルから貰える筈だ
スキルで貰った武器はエーテルを大量に帯びる事が出来る
魔物のエーテル魔法結界を破壊出来るのは
濃度の高いエーテルを宿した魔法か武器だけだ
魔法職や他のスキル持ちもこの事は覚えておいた方がいい
エーテルで体術を大幅に向上できる
そもそもLv1の頃より今は圧倒的に力や反応速度が上がっているだろう
何故レベルが上がると力や反応速度が上がるのか?
レベルが上がるとエーテルとのシンクロ率が上がる
つまり、体にエーテルによって干渉できているのだ
ただ、今は無意識にやっている
意識すると大幅に能力が向上する
このダンジョンを出たら、
剣技や体術のエーテルの使い方を試してみるといい
例え戦士職でなくても屈強な戦士になれる
私のスキルを教えよう。私のスキルは『鍛冶』だ
戦士のスキル持ちでは無い
<最後の5つ目だ>
魔王を倒したければエルアラメインの魔女のところへ行け
魔族を圧倒できる魔法を覚える事ができる
かの魔女の魔法は人類だけに唱えられる古代魔法だ
魔族ですら唱える事はできない
エルアラメインにもこの塔と同じ試練の塔がある
誰でも知っている筈だ。この塔の様に
しかし、この塔と同様、真の試練は簡単には受けられない
この塔の真の試練のダンジョンも君達がここへ入って来た時から10年間、
再び誰かが入る事はできない
私達の知見は簡単に人間に拡散して良い物では無いのだ
私の話はこれで終わりだ
君たちにはユニークスキル『シュバリエアーツ』を授けよう
無意識に武技が使える。このスキルでエーテルの使い方の手本とせよ
私も魔族の友よりそうやって習った
さあ、行くがいい
君達が私達の知見により魔族と人間の共存に尽力してくれる事を期待する
この試練を乗り越えられる者は仲間と力を合わせる事ができる者のみ筈だ
君達は必ずわかってくれると信じる』
彼の姿が消えていく、そして、
新たな魔法陣は生まれた。さっきとは違う魔法陣だ
右手に紋章が刻まれる。今回のは大きな鷲の紋章が刻まれた
青い魔法陣が俺達を包む。周りが青い光で満たされる
そして、俺達は試練の塔の1皆の入り口の魔法陣の上に現れた
「俺達、帰って来たんだ」
「ああ」
俺は思わず西野に抱きついた
あまりに嬉しくてつい、そういう行動に出てしまった
だが、思わぬ人物達にそれを見つかってしまった
勇者島村達だ
「君達、なんでこんなところいるんだ?
散々探したんだぞ」
声の主は島村だった。俺達は抱き合っているところをみんなに見られてしまった
「お前達、そんな関係だったのか?」
須田がちょっと意地悪に言う
「い、いや、これは勢いで」
俺は顔を真っ赤にして言い訳をした
しまった。まさかこんなとこを見つかるとは思わなかった
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