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メッセージがきた段階で、送られてきた名前を見ずとも誰から送られてきたかは、ほぼ分かっていた。それは、いつものことだから。これが、優人の隠している事実に大きく関係してくることでもある。
キーンコーンカーンコーン―――……。
六時間目終了のチャイムが鳴った。四時間目までの通常授業から昼休みをはさみ、五時間目の体育。あばらの痛みと眠気に耐えきれず、六時間目はその大半を夢の彼方へと誘われていた。おかげで、鳴り終わり直後であるはずだが、彼のあくびは止まらない。
(やっと終わった、今日が金曜でホント良かった。平日でこれはもたねぇ。うん、絶対的にもたねぇ!)
時間割の仕組みに文句をたれるも、まだやることがある。
(あ、そうだ、先に職員室に行かねーと。レポート出すの忘れてたんだった)
先約を済ますべくリュックからレポート用紙を取り、急ぎ足で優人は職員室に向かった。
それから約一時間後―――。
(……)
優人は無言だった。一人で図書室に向かっているのだ。当然といえば当然のことではある。だが、そこにはどこか圧がある。
(待たされた、めっちゃ待たされた!! やべぇなーもう。待たせてるかな?)
所用でレポート提出をする先生の対応が遅れたことによる時間ロス。約束の相手を待たせてしまっている不安。それにより肥大化する、長い時間待たされたことによる苛立ち。そこには、「家に忘れず期限までに提出していれば」なんて後悔があったりもした。
(16時半前か。まだいてくれると良いんだけどな)
祈る思いで、図書室前の廊下に行く。そしてほどなくして到着した。部活動真っ只中の時間帯もあり、校内にいる人はかなりまばらだ。到着後すぐ、優人は辺りを見回した。
「あれ? (いない、な。どこにも)」
放課後に図書室前の廊下で。詳しい時間指定がなかったとはいえ、そろそろ来てもおかしくない時間。
(まさか、帰っちまったか?)
ふとスマホを見るも、新着メッセージはきていない。どこにいるのか、とメッセージを打とうとした。その時だった。
カサコソカサコソカサコソ……。
数メートル離れた所から地を素早く
「……」
そんな、なんもいえねぇ状態の優人の足元に、Gの触覚が触れた。あくまで、そこが触れただけなのだ。それだけなのだ。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
聞かれないと答えない、クールガイ。そんなイメージを持たれる優人だったが、今回ばかりはそうも言ってられなかった。そして彼は驚くあまりに、苦しくも失神してしまっているのだった。
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