世にも奇妙なG
浜こーすけ
本編
1
物事には、そこから連想させるという力が備わっている。桜といえば、春。怪獣といえば、特撮。UFOといえば、宇宙人。といった具合に。それは人によって多種多様な表現がなされ、そこに独創性を生むのである。
「今日も、変わらず美人だな~」
「グフッ、もう、目が潤う」
六月、初夏。
(はぁやべー、昨日ドラマ観すぎて超ねみぃ。今日はアレだ、寝るな、100%)
そんなことを気にも止めず、昨晩に
「よっ山口! 昨日のドラマ、観たか?」
「あぁ、観た観た。おかげで今日は寝不足だよぉ~……ふぅ」
語尾には、小さくあくびがつく。まだ眠気はとれていない。
「お、優人もあのドラマ観たのか? アレスッゲー良かったよな!」
「だよな~。山口がハマるって、相当だぜ」
「いやー珍しいことも、あるもんだなー。いやマジで」
「おい、どういう意味だよそれ」
見る人が見ればけだるそうな優人だが、だからといって友人がいないということはない。予鈴前の休み時間にも、こうして談笑をする。それが、二人から三人へ。三人から五人へ。次第にその人数は増え、会話の輪も広がる。時に笑い、時に冗談を言う。そして笑い、また笑う。意外と話題の中心にいたりする男なのだ。
ただ、そんな彼にも隠していることが一つある。家族にも、今話していた学友にも。ほとんどの者が知らないであろう、とある事実。
ピコンッ。
LINEの通知音が鳴る。それと同時に予鈴も鳴り、生徒らは自身の席に戻り
(誰からだろ……?)
優人は机の下でこっそりと、メッセージを見た。
【放課後、二階の図書室前廊下で】
そう記された文だけを見て、優人はスマホの電源を切った。
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