第40話


「クロノス・カイロス・虚空こくう」



ベリアルは残っている力を使い俺を抱き抱え別空間へと移動した。



「いっひっひ・・・これはうまいことやられたぜ、あんな状態でも能力を使えるなんて

さすが旦那だよな、イブリースさんよ?いひひ・・・」




アバドンがそう問いかけた時ベリアルの能力は解けイブリースの身体は自由になり

怒りの表情を浮かべながら話だした。




「アバドンさん?私が今どんな感情でいるかわかりますか?もしあなたでもお分かりに

なるのであれば今の私に気安く話かけないことですよ。」



イブリースがそういうとアバドンはうんうんと頷いた


「あーあ・・相変わらず読めないお方だよ、はいはいしばらくお口チャックね。さようなら」


アバドンは独り言のように話ながらその場を去った。



イブリースが纏う血液たちはイブリースの感情を表すかのように激しい動きをし

血液の色は黒色へと変わっていた。





その頃はルシファーとベリアルは・・・


ベリアルの能力の世界、時空間世界へと移動していた。




「ベリアル様、ここは一体どこ何ですか?」


俺は異様な空間、感じた頃のない雰囲気が気になりベリアルに質問をした。

だがベリアルの状態はかなり悪く辛そうにしながらも質問に答えてくれた。



「あぁ・・・ここは私の能力の世界【コーロクロノス】という空間だ。

ここなら奴らも足を踏み入れることはできない、それに私にはもう時間はない。

簡単な説明になってしまうが質問を聞く時間はない、俺の話を聞いてもらえるか?」




ベリアルは真剣な表情で俺を見つめた、その真剣さに俺は黙って頷くことしかできなかった。



「簡単に話すが私は時期に消滅するだろう、ルシファーには私の能力を継いでもらいたい。

私には完全に力を扱えるための特訓をしてやるほどの力も残っていない、

私がルシファーにせめて役に立つ者として残してやれるのは能力くらいだ。うっ・・・」



ベリアルは激痛により体勢を崩し倒れ込み俺はすぐそばにより声をかけた。



「ベリアル様、時間の能力で何とかならないんですか?今ベリアル様がいなくなったら

俺はどうしたら・・・

俺はまだ四天王やベリアル様みたいに強くないし・・・」


俺はその先の言葉が出なかった、俺はこの現状がうまく飲み込むことができず

怖くなってしまったのだ。



そしてベリアルが話だした。



「ルシファーよ、よく聞きなさい。誰だって最初は強くないのだ。少しずつ強くなっていくんだ

今どんなに悩んで考えたところで私が消滅することは変わらない。それに私は間違いを犯してしまったのだ。

魔族の毒をもらってしまった、魔族の毒は消すことが出来ない

だからルシファーが私の強さと共に能力を受け継ぐんだ。うっ・・・もう時間がない・・・

さぁ手を出しなさい、受け継がれし転生者よ、強くあれ」



俺はベリアルの言葉に何も答えることが出来ず、ただ黙って手を出した




ベリアルが「ディアドコス」というと文字盤が現れそこから綺麗な光の玉が現れた。

そしてベリアルが「ルシファー後はお前に託す」と言葉を残すとその光は俺のの胸へと入った

それと同時にベリアルは消滅し俺の前から姿を消した。




「べ・・ベリア・・ルさ・・ま・・そんな・・・うぅ・・・」




ベリアルが消滅したことで俺は言葉が出なくなり

悔しさや悲しみに襲われ涙が止まらなかった。


ベリアルが消滅したと同時に俺の体の中である変化が起きていた。



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