第33話


そしてその頃、アントニーとアザゼルの特訓も最終段階に迫っていた。


「よしっアントニー、君の成長ぶりには毎度驚かされるね。まさかこの短期間の特訓で

ここまで出来るなんてね。

アントニーなら俺が四天王やめても俺の代わりになれるかもしれないよ。」




アントニーは他の者たちはまだ知らないがアザゼルとの特訓により自身の能力はかなり精度を上げていた

そのことはまだルシファーも知らない。



「いやそんなことないですよ・・・この程度ではまだ僕なんか・・・

もっと力をつけなくちゃ、すぐルシファーに越されます。

それに僕は詳しくは知らないですがルシファーは特別なんですよね?特別じゃ、ルシファーは僕なんかよりもっと強くなるはず・・・

だから僕の能力をもっと極めて最高の幻獣化を目指すんです。アザゼル様みたいにケルベロスの幻獣化になれるようになるんです。」



アントニーは目をキラキラさせながら夢の話をしていたがアザゼルはなぜか悲しげな表情で話を聞いていた。




そしてその頃ルシファーたちの特訓も最終段階へと来ていた。


「よしっ小僧そこまでだ。ワシから小僧に教えられることはもうない。そして小僧には話さなければならないことがある。」



鬼王丸はいつもより真剣な表情だ。俺はなぜか緊張感に襲われた。

俺が緊張しているのがわかったのだろう・・・サタンの声が聞こえてきた。



『何緊張してんだよ。あいつ、自分のは本当の覚醒じゃないとか言うんだろな。笑えるよな』




サタンはそれだけ言うと黙り込み口を開かなくなった。



(んっどういうことだ・・・?本当の覚醒じゃない?鬼王丸さんが?)




俺は唾をゴクリと飲み込み鬼王丸を見つめていると鬼王丸は重そうな口を開いた。




「小僧に覚醒のことを教えてきたが・・・ワシの覚醒の能力は、本物ではない・・・」




鬼王丸は俺にそういい下を向いてしまったが俺は鬼王丸の言っている意味が全くわからなかった。


(鬼王丸さんの覚醒の能力が本物じゃない?じゃ覚醒ってなんなんだよ・・・俺は今まで何をやってたんだ?)



「あの・・・全く言ってる意味がわからないんですけど・・・覚醒が本物じゃないってどういうことですか?

それじゃ俺の覚醒も・・・?」



俺の質問に鬼王丸は丁寧に1つずつ答えてくれた。



「いやっ小僧の覚醒は本物だ。だがまだ完璧ではないだろう・・・

それからワシの覚醒が本物でないことも本当の話だ。


本来の覚醒はな、ワシのように姿が変わるだけではない・・・

ワシには中にいる魂の声は聞こえん、それはワシが覚醒に選ばれたわけではないからだ。


だが、小僧は違う。小僧の様子からすると、おそらく小僧には聞こえているのだろ?魂の声が。


・・・厳密にいうとワシの中にいるのは本物の魂ではないのだ。

ワシの中にいるのはワシの憤怒や悲憤により思念が集まって作られた擬似魂みたいなものだ。

そんなわけだ。なので小僧にこれ以上教えることはない。」




鬼王丸はそう言うと顔をしわくちゃにしながら笑顔を見せたが俺はその顔に何か不自然さを感じた




「鬼王丸さん、何か隠してますよね?何か知っているなら教えて下さい。俺には知る権利があるはずです。」



俺の言葉に鬼王丸は引きつった顔をしたがすぐにため息をつきながら話し出した。



「はぁー、小僧には参ったな。こんな簡単に悟られるなんて、俺はまだまだだ。わかった、全て話そう。

実はな、俺も覚醒については俺も完全に知っているわけではない。だが話せることといえば

本物の覚醒者は以前の記憶も持っており、その記憶から自身の誠の名を受け継いでいくのだ。

小僧も薄々感づいているのではないか?自分の中に別の記憶があること。」



鬼王丸に言われ確かに俺の中に別の記憶があることを思い出した。



(確かにそう言われれば別の記憶が俺の中にあるかも・・・それにこの間の精密世界でもあったような・・・)



俺が顎に手を当てて考えていると鬼王丸が話出そうとした、その時だった・・・

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