第31話


そしてその頃ベリアルは死神界へと戻っていた。


「イスラよ、いるか?」



ベリアルは焦りながら宮殿へ戻ってきた。




「ベリアル様、お戻りになったのですね。

ファントムシャドーが消えベリアル様もお戻りにならないので心配しました。」



イスラは涙目に訴えベリアルが戻ったことに心底安心していた。




「心配かけてすまなかった。私も色々あってな・・・油断したよ

・・・だが情報は掴めた。少しまずいことになった。」




イスラはベリアルの表情から何か危険が迫っていることに気づいた。



「そのご様子だと、死神界・・・いや冥府に何か危険が迫っているようですね・・・」




イスラがそういうとベリアルはゆっくりと頷き話し出した。



「魔族界に行ってきた・・・アバドンが復活していて、奴と戦ったが魔王は殺され

奴を完全に抑えることは出来なかった。

このままではまずい事になった。なんとかせねば・・・」




ベリアルの話を聞いたイスラは驚きを隠せず身体が震えている。




「ベリアル様・・・アバドンが復活したとは本当なんですか?あんな化け物が復活したとなれば

今の冥府に対等に戦える者はいません・・・いくらベリアル様でもアバドンには勝ち目はないかと・・・」



イスラは真剣にベリアルに訴えた。

その顔は少し心配しているようにも見える、だがベリアルは話を続けた。



「確かに勝てるかはわからない・・・だが今のアバドンは完全体ではない、今ならまだ勝機はある

だから時間がない。早く蹴りをつけなければ、心配するな、私がなんとかする。

それに考えはある。それとイスラに頼みがある。聞いてくれるか?」




ベリアルがそういうとイスラは一瞬キョトンとした表情をしたがベリアルの顔を真っ直ぐ見つめた。



「なんですか・・・?無謀なお願いなら聞きませんよ・・・?無茶なことをされては困ります。」



「大丈夫だ。イスラには少し探ってもらいたいことがある。前にも話した裏切り者の件だ。

魔族界に行って確信したことがある。

やはり魔族界と死神界の者は繋がり何かを企んでいるのは確かだ。

その魔族とはおそらくアバドンで間違いないだろう。

アバドンと繋がっている死神界の裏切り者を見つけて欲しい

それとアバドンの復活の件についても探ってもらいたい。

死神の者が必ず絡んでいることは間違いないだろう。これはイスラにしか頼めない、やってくれるか?」



ベリアルの頼みにイスラは呆れた顔をしため息をついた。



「どうせ私が断ってもなんとしてでも納得させるんですよね・・・?毎度このパターンですから

わかりました。でも条件があります。私が何か掴むまで死神界にいて下さい。3日で調べあげます。

私にしか見ることが出来ないアカシックレコードを使えばすぐにわかるはずですので

ベリアル様も約束して下さい」


イスラが条件をつけるとベリアルは「これはやられたな」と笑みをこぼし納得した。



この行動で冥府に新たな問題が生まれる事になる。

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