第30話


『ルシファー、何とぼけた顔してんだ、俺の力を貸してやったんだ。

胸元の刻印を見てみろ、ちゃんと変わってるよ。』




(なんか・・・だいぶキャラ変わってないか・・・?)


サタンが言うので胸元を見てみると赤い竜?の刻印があった。



そして徐々に実感が湧き嬉しさの感情が湧き上がってきた。


「俺・・・やったぞ、これで覚醒出来たのか?よっしゃー」



そしてその様子を見ていた鬼王丸が近づいてきた



「小僧その様子を見ると無事に帰ってきたみたいだな。まずはよくやった。だが【覚醒】は出来たのか?」




鬼王丸は俺に質問してきたが俺は正直【覚醒】の感覚などは全くわかっていない。

その時またサタンが俺の頭の中に話かけてきた。



「ルシファー大丈夫だ。お前は俺だ。いつでも1つになれる。心の中で俺を呼べ」



(だから、だいぶさっきとキャラが変わってるような・・・)



『うるせーな、力貸してやってんだからいちいち気にするな。それにこれが本当の俺だ。』



(へーなるほどね。まぁサタン、ありがとな。力を貸してくれて。)



『おう、まぁ言った通りやってみろ』



俺はサタンに言われた通り心の中でサタンを呼んだ。

すると体が熱くなる・・・(体が熱い・・・なんだこれ・・・)

次第に身体が変化していった。

背中からは6枚の羽がはえ、銀髪の長髪だった髪は短髪になり身体中に赤い竜の刻印が浮かび上がった。

そして身体中に力が湧き上がる。自分でも感じられるほどの力だ。その感覚は悪い感じはしなかった。




「まずは合格だな。完璧ではないが姿の変化はできている。だが大変なのはこれからだ。

力を完璧に使いこなさなければならない。今のままでは力がダダ漏れだぞ。」



俺は今の自分の状態が全く理解出来ないでいた。今の自分の身体に何が起きているのかわからない

ただこの冥府に転生してから無能と言われ全く力を感じる感じることが出来なかったが

今は違う、自分の身体に力が溢れ出てくるのがわかる。



(これがサタンの力なのか?これが覚醒なのか?)


俺がそう感じているとサタンが話かけてきた。



『ルシファー、何を浸っているんだ?言っておくがな俺はお前に完全に力を貸した訳じゃないからな?

今のお前が俺の力を完全に使ったら死んでしまうぞ。

それにまだ完全に認めた訳じゃないからな。』




俺はサタンの言葉に耳を疑った。


(これが完全じゃない・・・?これだけの力なのに・・・一体どこまでの力を持っているんだ・・・)



俺は力というものに少し恐ろしさを感じた。




「よし小僧、完璧ではないとはいえ姿の変化もできたことだし、少しその力を試してみたくないか?

俺と少し力比べしてみるか。」




鬼王丸の言葉に俺は動揺を隠せなかった。



「力比べですか?俺はまだ戦い方なんて全く知りませんよ・・・それに今の力で戦ったら俺は・・・」


俺は今の力に恐ろしさも感じていたこともあり最悪の事態も考えてしまった。

だが鬼王丸はそんなことなど全く気にもしていない様子だった。



「小僧よ、ワシの事を甘く見ていないか?言っておくが今の小僧の力など

ワシの1割の力にも満たない、だから安心して今の本気でぶつかって来い。」



俺は鬼王丸の自信に満ち溢れた表情、そして鬼神の王の貫禄から生まれるのだろう言葉の重みに安心した。




「わかりました。本気でぶつかります。俺の全力の力を試させてください。」



決意を固めた俺の表情を確認した鬼王丸はニッと笑い

「よしっ、本気かかって来い」と笑顔で言ってくれた



そして俺は全力のスピードで鬼王丸に突進し全力の力で鬼王丸に殴りかかった。

だが力の差はその一発でわかった。俺の全力の一発を鬼王丸は片手で受け止めた。



「えっ・・・嘘だろ・・・」




心臓の鼓動が早い・・・俺は身体から血の気が引いていくのがわかった。

鬼王丸の表情は見なくてもわかった。ただただ恐ろしい。



「小僧、よくわかったか?今のお前の力などその程度だ。

力を手に入れたとは言え浮かれている場合ではない。特訓が必要だ。

ワシは小僧の自信を無くしたかったわけではない。小僧からは焦りが感じられた。

その焦りを無くしたかったんだ。焦りは未熟の小僧には危険だぞ。力の抑制が利かなくなる

必ず強くしてやる。だから焦ることはやめろ。」




鬼王丸の言葉は今の俺にはとても重い言葉に感じ涙が止まらなくなった。



「鬼王丸さん、俺・・・すみません・・・」


「そんなに泣くな、小僧は男だろ。一旦休憩して飯にでもするか。」




鬼王丸は俺の肩に手を置きながら慰めてくれた。

そして俺の決意は固まり、その決意から焦りは消えていった。

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