第29話


「小僧にはここで死んでもらう。死ぬと言っても本当に死ぬわけではない

小僧の中に眠る精神世界、そこで小僧の中に眠る魂と対決するのだ。

そこで小僧が勝てばその力は小僧のものだ。だが負ければ・・・」



鬼王丸はそこで言葉を閉ざした。




「負ければ死ぬんですか?この際はっきり言ってください。覚悟はできています。」




「そうだな・・・負ければ小僧は意思は消え体は乗っ取られ小僧は死ぬ

本来、覚醒は自発的に行って手に入れる力ではない、それはわかるな?

なんらかの条件が整って覚醒するからな、だがこれから行うことは

強制的に精神世界に行って無理やり力を奪うことになる

だからそれなりにリスクも高いのだ・・・」




俺は覚醒という能力がそんなにリスクが高いことに驚いたが俺はそれなりの覚悟はできていた。

いくらリスクが高くてのも俺の答えは決まっている。

『俺は強くなるためならなんでもできる。約束を守るんだ。』




「俺は大丈夫です。覚悟は出来ています。」


「肝が座ったやつだ、早速始める。よし行ってこい」



鬼王丸はそういうと俺の額に手を当て指を弾く、すると俺の目の前は一瞬で真っ暗になった。




気がつくと俺は別世界?いた。



(ここはどこだ・・・?ここが鬼王丸さんが言っていた精神世界なのか?

もしそうならここに俺の中にいる他の魂がいるのか?でもここは真っ暗だ・・・なにも見えない・・・)




俺は真っ暗い空間の中をひたすら歩くことにした。だがしばらく歩くと俺はあることに気がついた。




「待てよ・・・この空間・・前にも来たことがある気がする・・・そうだ・・あの時か。)





俺は前にも来た事があることを思い出した。

そう、あの時だ。俺が転生し、死神大王と名乗る死神にあった時だ。


俺がその事を思い出すと目の前に1つの部屋が現れた。



「この扉・・・前来た時に見た扉とは違うな・・・でもこの先にいるのか?」



俺はその扉を思い切って開けることにした。

暗い空間の中に扉が開く古臭い音が鳴り響く・・・



扉を開くと奥は白い光と黒い炎が混じり合い渦になっている。

そしてその先には少年?いや違う・・・死神?それも違う・・・どちらでもない何かがいた。




「待っていたぞ、お前がここに来ることはわかっていた。さぁこっちに来い」



俺はその声を聞いた時すぐにわかった。



(この声は・・俺の頭の中に聞こえていた声だ・・そうか・・そうだったのか・・)




俺は声の主の元に近づき主の姿を前に確信して話かけた。



「お前が俺の中にいる魂の正体なのか?なんて名前なんだ?

俺はお前と戦って力をもらうつもりだったがお前の姿を見て確信したよ、だから戦うつもりはない

それに無能な俺は戦う術はない、むしろ勝てないさ・・・

それにお前は俺なんだろ?いや・・・お前は俺だ。」




その時、俺はふと我に返った。




(俺は何を言っているんだ・・・?それに今のは誰の記憶だ・・・目の前の奴が俺だって?

訳が分からない・・・でも姿形は俺にそっくりだ・・・)



そして主が話だす


「確かに私はお前そのものだ。だがお前は光であり私は闇だ。光と闇は混ざることはない

お前は闇に消えろ。そして俺の名はサタンだ。カオス・終焉【テロス】」




サタンが俺に能力を発動すると俺の身体に刻印が浮かび上がった。


「そのドクロの刻印・・それにその紋様・・奴の・・そういうことか、なるほどな・・・」



サタンはそういうと能力を解き攻撃をやめた。


(えっ?どういうこと?刻印?なんのことだ・・・?)


俺は自分の身体を見て驚いた

(えっ?この刻印、タトュー?なんだこれ・・・まぁいいか・・・)


「サタン俺に力をください」




俺は状況が理解出来ていなかったがとりあえずサタンにお願いしてみた。

そうするとサタンは笑い出した。



「はっはっ・・なんだお前・・・?はっはっはっ面白い奴だな。お前、身体のことは何も知らないようだな。

とんだ馬鹿をあいつは転生させたな。力は少し貸してやる、お前の魂の中で見守らせてもらうよ

ルシファー大変なのはこれからだぞ。」



サタンはそういうと俺の身体の中に入り込んだと同時に空間は消え俺は目を覚ました。



(はっ!俺はやったのか?何も変わった感じはしないけど・・・)




その時サタンの声が聞こえた。

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